米GartnerのDataquestは米国時間3月11日,世界携帯電話機市場に関する調査結果を発表した。それによると,世界における2001年の携帯電話機販売台数は,前年比3.2%減の3億9960万台だった。
携帯電話機の世界市場は1996年から2000年まで,年平均約60%で拡大しており,販売台数の伸び率がマイナスに転じたのは2001年が初めてである。
「これまで高成長を遂げていた西欧や中南米で,助成金が削減されたことが大きく影響した。また開発途上国では,加入者識別モジュール(SIM:subscriber identification module)だけを購入する消費者が予想以上に増えたため,中古端末の市場が急速に拡大した」(Dataquest社Mobile Communications Worldwide調査グループ上級アナリストのBryan Prohm氏)
さらにDataquest社は,「2000年第4四半期からの在庫のだぶつきが,主要市場での販売不振を引き起こした」(Dataquest社Mobile Communications Worldwide調査グループ業界アナリストのAnn Liang氏)と指摘する。「過剰在庫を抱えたキャリアは“灰色市場”で在庫処分を行おうとした。このため,アジア太平洋地域の中でもとりわけ中国では,携帯電話機の輸入品を取り扱う灰色市場の動きが活発になった」(同氏)
■2001年のエンド・ユーザー向け携帯電話機世界市場(推定値) (単位:1000台) 2001年 2000年 2001年 市場シェア 2000年 市場シェア ベンダー 販売台数 (%) 販売台数 (%) 伸び率 ------------------------------------------------------------------- Nokia 139,672 35.0 126,369 30.6 10.5 Motorola 59,092 14.8 60,094 14.6 -1.7 Siemens 29,753 7.4 26,989 6.5 10.2 Samsung 28,234 7.1 20,639 5.0 36.8 Ericsson 26,956 6.7 41,467 10.0 -35.0 その他 115,877 29.0 137,173 33.2 -15.5 合計 399,583 100.0 412,731 100.0 -3.2 ------------------------------------------------------------------- 出典:Dataquest社(2002年3月)
北米では,景気後退によりエンド・ユーザーの買い替え需要を鈍化した。また世界的にみても,アップグレードを計画している消費者は,次世代携帯電話機の登場まで買い控えている傾向がある。
ベンダー別にみた場合,フィンランドのNokiaが35%の市場シェアを獲得し,リードを広げている。2001年第4四半期におけるNokia社の販売台数は約4000万台で,一時は市場シェアを約37%まで拡大した。
2位の米Motorolaは,中国市場ではNokia社を凌いで首位に立った。また北米および中南米では,主要CDMAベンダーとして確固たる地位を築いた。3位は各四半期ごとに異なるベンダーが登場したが,第4四半期はドイツのSiemensが獲得した。
トップ5ベンダーの中では,韓国のSamsungの成長率が36.8%とずば抜けて高い。継続的な製品ラインの拡充,主力製品の好調な売れ行き,各地域における積極的なマーケティングなどが功を奏した。
スウェーデンのErricsonは,2001年に販売台数が35%も落ち込んだ。しかしErricson社は,ソニーと携帯電話機事業を統合する合弁事業を開始しており,2社の販売台数合計は約3400万台に達している。Erricson社がソニーとの提携により浮上してくる可能性は高く,2002年も3位の座をめぐる競争が激化する見通しだ。
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