Anthrax Research Project(炭疽菌研究プロジェクト)に参加している企業/組織が米国時間3月8日に,プロジェクトの研究成果を米国防総省と英国政府に提供すると発表した。同プロジェクトは,既知の炭疽菌毒素のタンパク質に対し,35億個の分子をスクリーニングすることを目的とし,1月22日に作業を開始して2月14日に完了した。

 速報によると,35億個の分子の中から今後の研究対象候補として約30万個の分子を選別したという。「そのなかの約1万2000個が特に期待できる」(同プロジェクト)。この仮想スクリーニング・プロジェクトは,「従来の手法だと数年かかる処理」(同プロジェクト)。これを24日間で終えたという。

 なお同プロジェクトには,米Intel,米Microsoft,米国癌研究基金(NFCR),英オックスフォード大学,米United Devicesが参加している。

 オックスフォード大学化学学部学長のGraham Richards氏は,「この炭疽菌に対する仮想スクリーニング・プロジェクトが成功したことでもわかるように,生命科学の分野では,新薬を開発する手法が大きく変わりつつある」と説明する。「私が生きているあいだには終わらないと思っていた研究が完了した。それもたった数週間でだ」(同氏)

 「当プロジェクトは,現実世界の問題を解決するコンピューティング・プラットフォームとして初めてインターネットを利用した。従来のコンピューティング・モデルだと単純には対応不可能な範囲/速度で問題を解くことができた」(United Devices社CEOのEd Hubbard氏)

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