米Sun Microsystemsが米国時間3月8日に,米Microsoftを独占禁止法違反でカリフォルニア州サンノゼの連邦地裁に提訴したことを明らかにした。Microsoft社が独占的地位を利用し,Javaプラットフォームの普及を妨害したというもの。Sun社はMicrosoft社に対し,反競争的な慣行の改善と損害賠償を求めている。米メディア(CNET News.comInfoWorldなど)の報道によると,賠償金額は10億ドルを超えるという。

 「慎重に検討した結果,当社株主と社員への信託責任を維持するために提訴に踏み切った。今回の独占禁止法違反訴訟は市場競争の復興を目的としている。Javaプラットフォームの配布,そしてMicrosoft社製ソフトウエアと競合製品間の相互操作性に対する不法な障壁を取り払う。この目的が達成すれば,より優れた革新技術が市場に生まれ,顧客の選択肢もさらに広がる」(Sun社上級副社長兼顧問のMichael Morris氏)

 Sun社が問題としている主な内容は以下の通り。

・Javaプラットフォームの普及の妨害
・互換性のないJava Runtime Environmentsの配布
・Javaに対応していない製品の配布と仕様を他の企業に強要
・Sun社がJava Runtime Environmentを配布するためのチャネルを著しく制限
・JavaベースのアプリケーションおよびJava対応ランタイムの開発を意図的に妨害
・ライセンスを受けていないJava Runtime Environment対応製品を配布したことによる著作権侵害
・意図的にMicrosoft社製ソフトウエアと競合技術との間に非互換性を作りだし,消費者の支出を引き上げ,選択肢を削減

 ちなみに米司法省と19州がMicrosoft社を相手取って起こした独禁法訴訟で,米連邦高裁は2001年6月に,「Microsoft社が独占的地位を乱用した」ことを認めている。Sun社は連邦高裁の判断を基に今回の訴訟を起こしたとしており,「Microsoft社の慣行は,既存のオープン・ソース業界に関わる多数の開発者と正当な競争に脅威を与えるものだ」(Morris氏)と述べた。

 Sun社はMicrosoft社に,1)「Windows XP」と「Internet Explorer」にSun社が開発した現行のJavaプラグインのバイナリ実装を組み込んで配布すること,2)Microsoft社のJava Virtual Machineの別途ダウンロード配布を中止すること,などを求めている。

 今回の係争には次のような背景がある。Sun社は1997年10月7日に,Microsoft社がMicrosoft社製品のみに互換するJava製品を出荷したとして提訴していた。2001年1月23日に,Sun社とMicrosoft社がこの係争で和解に達し,Microsoft社はSun社のJava技術を使った既存製品(ベータ版を含む)の出荷を継続して行えるようになった。ただしそれは,Java 1.1.4が組み込まれているMicrosoft社製品に対してSun社が限定的に許可するもので,その有効期間は7年間となっていた。Microsoft社はWindows XPにJava VM(Java仮想マシン)を標準搭載しないことを決定し,2001年7月にその旨を発表した。

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