XML関連の標準化団体米OASISのメンバーが,生体認証(バイオメトリクス)向けの標準XMLスキーマを策定する技術委員会「OASIS XML Common Biometric Format(XCBF)」を発足させた。OASISが米国時間3月7日に明らかにしたもの。

 バイオメトリクスとは,DNA,指紋,虹彩,手の形状など人間の身体的特徴を利用して認証を行う技術である。XCBFの目的は,XMLを使ってバイオメトリクス情報を取り扱えるようにすること。「XCBFは,生体計測、ドキュメントやリソースへのアクセス制御,商取引での否認不可/否認防止(Non-Repudiation)を処理するアプリケーションで利用される。とりわけオープンなネットワークで利用されることになる」(XCBF)

 バイオメトリクスによる認証の特徴について,XCBF技術委員会議長のPhillip H. Griffin氏は,「“あなたは何を知っているのか?”という認証方式を“あなたは何者か?”に変えるものだ」と説明する。つまり「認証対象を暗証番号などからカードに置き換えること」(同氏)という。

 またGriffin氏は「既存のバイオメトリクス標準技術はバイナリ形式データを使っているため,XMLシステムやアプリケーションでの利用が非常に制限されている」とも説明する。「XCBFは,バイオメトリクスの機能をXMLで利用可能にする標準的な方法を提供する」(同氏)

 このXCBF技術委員会は,Common Biometric Exchange File Format(CBEFF)用のXMLエンコーディング・セットを定義する。CBEFFはバイオメトリクス技術に必要なデータ要素を記述するための標準規格である。米国規格協会(ANSI)がドラフト版を策定し,現在米国標準 技術研究所(NIST)が維持/管理を行っている。「データの型定義を共通化することで,バイオメトリクス・データの厳密な検証と交換が可能になる」(XCBF)

 なおXCBFは,ANSIのX9公認標準委員会X9F4ワーキングループ議長であるJeff Stapleton氏のコメントを引用している。それによると,インターネット経由の情報交換用のメッセージ・シンタックスは,XMLベースの言語に集約しつつあるという。「バイオメトリクスの情報もこの点はまったく変わらない」(同氏)

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