米Cisco Systemsが米国時間3月4日に,サービス・プロバイダと企業環境に向けてレイヤ2,レイヤ3でVPNを構築する「Unified VPN Suite」を発表した。これは,IPとMPLS(マルチプロトコル・ラベル・スイッチング)ベースのネットワークに新しいVPN技術をもたらすもの。Any Transport over MPLS (AToM),Layer 2 Tunneling Protocol version 3(L2TPv3)などの新しいプロトコルとともに,「Cisco Easy VPN」を介した配備機能,MPLSでIPSecを有効にするための機能を提供している。

 同製品により,サービス・プロバイダは,既存のIPまたはMPLSネットワークを用いてレイヤ2,レイヤ3の両方に対応するVPNネットワーク・サービスの提供が可能となる。同社の「IOS Software」サービスのスイートへの対応により,同製品を使うサービス・プロバイダは,同社のService Assurance Agent,MPLSベースのトラフィック・エンジニアリングを通じて顧客にセキュリティ,Quality-of-Service(QoS),NetFlow,SLA,を含むネットワーク・サービスの提供が可能となる。

 「サービス・プロバイダは,IPまたはMPLSバックボーンを使いながらレイヤ2アクセスの売り上げ増大を狙っている。同製品によりプロバイダは,新しいIPサービスの提供が可能になり,既存のパケット・バックボーンを介して経済効率よくアクセス・トラフィックをトレンスポートできる」(同社)

 同社のAToMソリューションは,Ethernet over MPLS (EoMPLS),ATM AAL5,ATM Cell Relay,Frame Relay,PPP,HDLC over MPLSに対応。Packet over SONET(PoS)への対応も予定している。またL2TPv3で,Frame Relay,ATM,HDLC,PPP,Ethernetに対応し,IPSec VPNにより企業がリモートまたはピア・ツー・ピアのアクセスを拡張でき,MPLSバックボーンとの組み込みが可能になる。

 同社のVPN Solution Center (VPNSC)は,同社とサード・パーティ製の製品を使ってFrame Relay,ATM,PoS,PPP,HDLC,IPSec,Ethernet VPNでのサービスの有効化,監視,報告,侵入検出,ポリシー管理を行う。企業向けには,VPN Management System (VMS)がIPSecと他のCisco IOS VPN技術向けに監視,報告,侵入検出,ポリシー管理を行う。

 同社のUnified Client Frameworkを基にした「Cisco Easy VPN」ソフトウエアは,同社のルーター,セキュリティ・アプライアンス,VPNクライアントに一貫した接続,ポリシー,管理メソッドを提供する。ユーザーは共通のVPNフレームワーク内に,同ソフトが有効なあらゆるデバイスを配備できる。ルーターとセキュリティ・アプライアンスは,複雑なリモートの設定なしで自動的にVPNトンネルを確立して維持できる。

 Unified VPN Suiteは,Cisco IOS Softwareの12.0Sまたは12.2Tを搭載したCisco 800アクセス・ルーターからCisco 12000インターネット・ルータまでさまざまなプラットフォーム上で動作する。

◎関連記事
米シスコが決算発表,「堅実な四半期だった」---前期比8%増収で収益回復
NCLC,ファイアウオールとVPNを1つにまとめたアプライアンス機器を展示
米Symantecが企業向けファイアウォールとVPNソフトの最新版を発表
新Pocket PCはセキュリティやVPNなど企業向けに機能を強化

発表資料へ