フィンランドのNokiaと米TI(Texas Instruments)が,モバイル・ハンドセット製造業社とアプリケーション開発者に,スマートフォン向けのオープンなリファエレンス・プラットフォームを提供することを現地時間2月18日に発表した。両社の技術を統合した最初の「Series 60-based Complete Smart Phone Reference Platform」は,2002年第3四半期に配布開始が予定されている。

 このプラットフォームは,Nokiaの「Series 60」ターミナル・ソフトウエア・プラットフォーム,開発者向けSDK,TIのOMAPプロセサをベースとしたリファレンス・プラットフォーム,開発ツールキット,「Symbian OS」を組み込んでいる。同プラットフォームは,最終製品の製造または製品への統合に向けたソリューションとして配布される。

 無線ハンドセット製造業者は,このリファレンス・プラットフォームにより高性能で消費電力が低い第2.5世代(2.5G)および第3世代(3G)スマートフォンの製造が可能となる。同ソリューションは,コスト効率に優れているとともに市場への製品投入時間を大幅に短縮する。またオープンで拡張性が高く,またNokiaからの「Series 60」プラットフォームのソースコード・ライセンシングにより,長期に渡りハードウエアとソフトウエアに投資をしてきた製造業社は,その投資を無駄にすることなく新しい技術が統合可能となる。

 両社によるこのリファレンス・プラットフォームは,業界標準に準拠するさまざまな無線技術に対応している。そのため,ネットワーク事業社とハンドセット製造業社は,独自のニーズに合ったソリューションを選択できる。またアプリケーション開発者にも,混合プラットフォーム上でエンド・ツー・エンド・アプリケーションの作成,テスト,評価ができるという利点がある。

 「Series 60」プラットフォームは,Nokiaがソースコード製品として他のモバイル・ハンドセット製造業社にライセンスしているスマートフォン向けのターミナル・ソフトウエア・プラットフォームである。製造業社は,「Symbian OS」を搭載した自社の電話に「Series 60」プラットフォームを統合できる。同プラットフォームには,モバイル・ブラウザ,マルチメディア・メッセージング,コンテンツのダウンロード機能とともに個人情報管理とテレフォニ・アプリケーションのホスト機能がある。モバイル・デバイス,異なるネットワーク・インフラ,コンテンツ間で相互運用性を持たせるためにXHTML,MMS(Multimedia Messaging Service),Javaをサポートしている。またカスタマイズ可能なユーザー・インタフェースも搭載しており,すべてが「Symbian OS」上で動作するように設計されている。

 ハードウエア・リファレンス・プラットフォームは,TIのOMAPアプリケーション・プロセサと第2.5世代GPRSモデムをベースとしている。DSPをベースとしたデジタル・ベースバンド,アナログ,RFデバイス,プロトコル・スタックを持つ完全なソフトウエア・ソリューション,包括的なハードウエアとソフトウエアの開発環境を収録している。同社のOMAPプロセサは,Nokiaの「Series 60」と「Symbian OS」と完全に互換している。

 「両社の技術を単独の即座に使用可能なソリューションに統合させることにより,第2.5世代スマートフォンの導入を促進する。高性能で消費電力が低いため,アプリケーション開発者は第2.5世代と第3世代サービスによって提供される可能性を十分に活用できる」(TI社のシニア副社長のGilles Delfassy氏)。

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