米Gartnerが米国時間2月13日に,Webサービスとピア・ツー・ピア(PtoP)を組み合わせた実装モデルの概念「サービス・ステーション」について発表した。WebサービスとPtoP技術を利用したデータ・アクセスを実現することで,企業などの業務効率を改善できるという。

 サービス・ステーションは,個人のファイルやデータを公開するための仕組み。PtoPアーキテクチャ上で動作するWebサービスに相当するという。「Napsterが音楽ファイルを共有したように,サービス・ステーションは組織内でファイル共有を実現する」(Gartner社グループ副社長兼調査グループディレクタのDaryl Plummer氏)

 またGartner社は,「サービス・ステーションの特徴は,文書が中央のサーバーにあるのではなく,組織全体に存在すること」(同氏)と説明する。「サービスの登録ユーザーは,組織のどこからでもデスクトップ・パソコンを使って文書ファイルにアクセスできる。個人のファイルが組織のリソースに変わる」(同氏)

 このサービス・ステーションには,組織の枠を越えてアクセスできるメリットもあるという。ただしこの点についてGartner社は,外部にサービスを公開することで,スプーフィング,不正アクセス,サービス拒否(DoS)攻撃といった問題が起きる危険性について懸念を抱いている。Plummer氏は,「安全なサービス・ステーションを構築することが,この概念の成否の鍵になる」とした上で,「Webサービス向けの安全なモデルが実現して普及するまで,企業は組織外からのサービス・ステーション使用を避けるべきだ」(同氏)と指摘する。

 また,同社は個々のファイルに対するアクセスと,それらを企業リソースに集約させるための一貫した手法を検討している企業に対して,「Webサービスを基盤とするサービス・ステーション戦略を,2004年までには導入すべき」と提言している。

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