オランダRoyal Philips Electronicsの一部門であるPhilips Semiconductorsが米国時間1月21日に,「USB(Universal Serial Bus)On-The-Go(OTG)」に準拠したLSI「ISP1362」を発表した。
USB OTGは,USB仕様の策定を進める非営利団体Universal Serial Bus Implementers Forum(USB-IF)が定めた「USB 2.0」の拡張仕様。USB標準規格は当初,パソコンと周辺機器を接続する共通インタフェースとして設計された。現在ではMP3プレーヤ,デジタル・カメラ,PDA,携帯電話機といった多数の機器がUSBを採用している。USBはコストが低く,高速転送を実現する。
しかしモバイル機器の普及が進むにつれて,パソコンを使わずにモバイル機器同士を直接接続したいという要求が高まっている。OTG拡張仕様はこうしたニーズに応える拡張仕様である。OTGの主な内容は以下の通り。
・ホスト機器の機能を制限し,特定のUSB対応機器と接続可能にする
・小型USBコネクタでモバイル・フォーム・ファクタに適合する
・低電力消費機能により電池寿命の延長を図る
上記の機能をも備えた“二役”のUSB機器はホストにも周辺機器にもなり,他のUSB対応機器と接続できる。パソコンとは異なり,“二役”機器はすべてのタイプのUSB対応周辺機器をサポートする必要がない。しかし各OTG対応製品は既存のパソコンに接続した場合,周辺機器として動作しなければならない。
ISP1362は,Philips社のUSB OTG準拠製品の第1弾となる。ホストと周辺機器の切り替えは(HNP)Host Negotiation Protocolを通じて行うことが可能。2002年2月にサンプル出荷を行い,第2四半期に量産体制に入る計画である。パッケージは「LQFP64」で,1万個ロット時の価格は4ドル90セント。
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