「半導体業界では全世界で人員削減が行われているが,経済データを基にすれば,2002年の第2四半期に業界が回復に向かう可能性がある」米Industrialinfo.comが米国時間1月17日に報告した。米国半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)によれば,2001年11月のチップの売り上げは世界全体で1.5%増加しているという。

 通常,第4四半期の売り上げは,ホリディ・シーズンに伴って上昇するが,2001年の同期の売り上げは例年よりもまだ低かった。半導体の売り上げに継続的な上昇があれば,底に行きついた後の上向きにかかった兆候であるとみられる。この先数カ月間の消費者の需要が,売り上げの上向きが続くか否かを示すとしている。

 現在,半導体の技術製品関連の主要消費者は,多国籍企業と電気通信企業である。2002年の世界における消費者のハードウエアとソフトウエアに対する支出額は, 6000億ドルに達すると予測される。

 2001年に大半の半導体製造業は,需要が低下する中で在庫レベルを減らすために生産を縮小した。多くの企業が従業員の解雇は2002年にも続くと発表している。たとえば,米Motorolaはもっとも多くの従業員を解雇した企業のひとつであり,12月にも9400名の解雇を発表している。同社が2000年8月から解雇した従業員の総数は2002年半ばまでに15万名にも上る。その他の企業でも解雇が発表されているが,雇用に関するデータは,常にその他の判断要素から遅れているため,従業員の解雇は製造業者が,単に先行きが不明確な期間にコスト削減を実行していると判断される。

 年が明けたばかりで,今年度の半導体の売り上げはまだ予測できないが,業界の資本投資は低下すると予測される。いくつかの製造業者は,競争に留まるためにプロセスの自動化に投資を続ける可能性がある。半導体装置ベンダーは,製造業者に製造プロセスを近代化するように勧めている。業界の専門家は,2002年半ばに業界が回復すると予測しているため,現実となった場合には同年の資本投資が増大され,プロセスの近代化が進められる可能性もある。このプロセスの自動化と技術投資が半導体製造業者の拡張をけん引する可能性もあるという。

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