米IBMが米国時間12月12日に,中・大企業に向けたマネージドCRM(customer relationship management)のサービスを始めると発表した。「IBM CRM Management Services」と呼ぶもので,同社のサービス部門IBM Global Servicesが提供していく。サービス提供の対象地域は米国と欧州。欧州では2002年の第2四半期の提供開始を予定する。

 IBM CRM Management Servicesは,CRM展開に関するすべての局面でサービスを提供する。これにはコンサルティングや実装のほか,技術管理やコールセンター支援といった日常業務なども含まれる。

 同サービスは「顧客ニーズ・ベースのサービス」(IBM社)として提供していく。IBM社では,「顧客のCRM戦略を支援し,顧客の業務にとって最も効率の良い方法を見いだしていく」と説明する。

 これには,マーケティング/販売/顧客サービス・アプリケーションの実装/管理/ホスティングや,ビジネス・インテリジェンス/レポート,そしてコールセンター・サービスなどがある。顧客にはこれらのなかから自社に必要なサービスを選択できようにする。

 今回IBM社がこのサービスを開発した背景には,Fortune 1000企業を対象に行った調査結果があるという。IBM社によると,「CRMソリューションの導入を考える多くの企業は,迅速で効果的な導入に必要な資源を自社内に持っていない」のだという。

 ちなみにIBM社は,自社業務へのシステム導入も積極的に取り組んでいる。同社は現在,米Siebel Systemsのe-businessアプリケーションをベースとしたCRMシステムを構築中である。IBM社の販売業務や顧客サポート業務をこのシステムに移行していく計画で,世界26カ所のカスタマ・センターで導入する予定である。「これが完成すると,世界164カ国の数十万人のIBM社従業員と,パートナー企業,顧客が重要情報を共有できるようになる」(IBM社)。

 なおIBM社は,米IDCの市場調査の結果を引用している。それよると,CRM運用管理の世界市場は,2005年に827億ドルの規模にまで成長するという。

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