米Gartnerが米国時間11月29日に,米州政府と地方自治体におけるIT人材不足に関して調査した結果を発表した。それによると,州政府の87%と地上自治体の80%が依然としてスキルのあるIT人材の不足に悩まされているという。

 給料が見合わないことや,報酬制度が不十分であることが主な要因とみる。また,今後5年で従業員の年齢が進むことも問題を深刻化する,とGartner社は指摘する。

 あらゆるレベルで人材不足が見受けられるが,特に中~高レベルのスキルを持つIT職員が最も不足している。

 「上級レベルの人材不足は大変な問題だ。なぜなら政府機関によるIT計画の成功は,ますます政府機関の管理能力にかかっているからだ。政府機関の担当者は内外の混合スタッフで構成するプロジェクトを管理しなければならない。内部でスキルのあるスタッフが不足すれば,政府による多くのITプロジェクトは遅延や中断する危険性がある。最悪の場合には失敗に終わるだろう」(Gartner社公共部門調査ディレクタのBill Keller氏)。

 IT職員の不足は今後も継続し,場合によっては悪化する。公共機関のIT職員が退職年齢に近づいているためである。5年以内に退職する予定の職員が11~20%いるという州政府機関は54%。同条件の地方自治体は48%である。

 公共機関のIT部門は,人材確保の手順を変更したり,アウトソーシング戦略を導入するなどの計画を進めるべきである。しかし調査によると,多くの州政府や地方自治体はその意思がないか,あるいは意思があっても実行できない状態だという。

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