米Frost & Sullivanが米国時間11月28日に,「通信業界の多くの分野が長引く不況の影響を受けるなか,VoIP(Voice over IP)機器市場は勢いを保っている」などする調査結果を発表した。それによると,2000年におけるVoIP機器市場の規模は10億ドル以上あり,2006年までに140億ドルを上回るという。

 ただしFrost & Sullivan社インダストリ・アナリストのJon Arnold氏は,「資本市場の落ち込みが続くことで,大規模なVoIPの導入は縮小/延期されるだろう」と分析する。「市場の成長は(サービス提供者の)供給主導によるところが大きい。このためVoIPに対する資本投資の盛り上がりがなくなれば,新規注文の落ち込みや注文キャンセルという形でゲートウエイの出荷に影響が出るだろう」(同氏)

 同調査では,「この状況が継続すると,既存の通信事業者はVoIP導入を遅らせるか取りやめるかして,現在使用中のネットワークを使い続けることになる」とみている。「既存通信事業者が次世代通信やDSLプロバイダからの脅威を受けなければ,VoIP機器にあわてて投資する必要性を感じないだろう」(Frost & Sullivan社)

 さらにJon Arnold氏は,「多くのプロバイダの規模は小さく,ベンダーに資金提供できない。そのため,このVoIP市場に残るという選択肢は大手プロバイダよりも少なくなる」と指摘している。「小規模プロバイダに起こりうるシナリオは,大手ベンダーに吸収されるか,VoIP市場を諦めてほかの分野に移るか,のどちらか」(同氏)としている。

 なおこの市場状況で成長を図るために垂直市場に注力している企業もあるという。また,それ以外の企業については次のように説明する。「米Clarentはリストラを行い,大きな成長が期待できるラスト・ワン・マイル市場に重点を置こうとしている。ほかのVoIPベンダーは,機器の販売を拡大し続けることで,より大きな水平市場を手にしつつある」(同氏)。

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