世界の通信機器の売上高は,前年よりもまだ低いが,第3四半期では売上高の低下が減速している---。市場調査会社の米Synergy Research社は米国時間11月27日,世界の通信機器販売の市場の調査結果を発表した。世界の通信機器の売上は,2001年の第1四半期が前四半期から20.6%減でもっとも低く,第2四半期では10%減だった。しかし,第3四半期では,355億ドルで5.9%減に留まった。

 企業とサービス・プロバイダ市場向けの機器販売も経済低迷の影響を受けており,同四半期の売上の縮小は,主に9月に発生した同時テロ,世界の経済停滞,サービス・プロバイダの資本投資の縮小が原因となっている。

 2001年第3四半期の世界市場における主要企業は,売上高が高い順にEricsson社,Lucent社,Siemens社,Alcatel社,Cisco社となっている。Cisco社が5位に順位を上げた。トップ5の企業の市場での売上高は,僅差となっている。1位と5位の間で市場シェアの差はわずか1.3ポイントとなっている。

 同年同期の北米における通信機器製造社のトップ5は,Lucent社,Cisco社,Nortel社,Siemens社,Motorola社の順となっている。世界市場の順位と同様,Cisco社がNortle社を抜いて,2位に順位を上げている。

 北米の通信機器市場は,第3四半期で10.7%のマイナス成長となっている。この値は,同年の第1と第2四半期の21%,13.1%減と比較して,多少持ち直している。

 「北米の通信機器市場の縮小は,欧州/中東/アフリカとアジア/太平洋地域の市場シェア拡張に影響している。アジア/太平洋地域は唯一,多少ではあるが第3四半期にプラス成長をみせた」(Synergy Research社の調査主任のRay Mota氏)。

 北米は,市場シェアが縮小しているものの,引き続き通信機器への支出がもっとも高い地域となっており,市場シェアは全体の35.7%を占めている。欧州/中東/アフリカ地域の市場シェアは,33.3%,アジア/太平洋地域は,25.4%だった。

 過去3年間でアジア/太平洋地域は,市場シェアを大幅に伸ばしている。1998年の第3四半期が18%,1999年同期が19.4%,そして2000年同期が21.1%だった。

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