英ARMと米SavaJe Technologiesは現地時間11月6日に,ARM社がJava対応拡張命令セット「Jazelle」をSavaJe社にライセンス供与したことを明らかにした。SavaJe社は自社の組み込みおよびハンドヘルド機器向けOS「SavaJe XE」にJazelleを取り入れる。

 SavaJe社がライセンス供与を受けたのは「Jazelle Technology Enabling Kit(JTEK)」と「VMA Technology Kit(VTK)」。SavaJe XEにおけるJava性能の高速化を実現するとしている。SavaJe XEは,「J2EEアプリケーションを携帯端末で素速く効率的に実行できる。PersonalJavaやJ2MEで対応していないさまざまなAPI,ライブラリ,パッケージをサポートする」(両社)という。

 「e-business拡充のためにJavaプラットフォームを導入する企業が増えている。モバイル向けe-businessアプリケーションの導入はITマネージャが次に直面する大きな課題だ。SavaJe XEは市場に出ている既存OS向けJava Virtual Machinesを使うよりも,5~15倍高速でJavaアプリケーションを実行することができる」(SavaJe社CEOのGeorge Grey)。

 JazelleをJ2SEアプリケーション処理の高速化に向けてライセンス供与するのは,今回が初めてという。高画質ゲーム,ホーム・ショッピング,バンキングといったインタラクティブ性のあるJavaアプリケーションの処理性能向上を図る。SavaJe社はJazelleの技術を取り入れた製品を2002年半ばに利用可能にする予定である。

 Jazelleの特徴は,Javaのバイトコードを直接実行する点。ARMプロセサにJazelle動作モードを追加することで,既存のARM命令とJavaバイトコードの両方の命令を一つのプロセサで実行できるようにする。Javaバイトコードの約80%をハードウエアで実行し,除算や浮動小数点演算命令など残り約20%は例外処理として既存のARM命令で処理する。

 このような仕組みを設けることで,「チップ面積を増大させるとなくJava処理性能を向上させることが可能になった」(ARM社)。無線機器やインターネット端末のJavaアプリケーションを10倍程度高速化できるという。

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