米GartnerのDataquestが米国時間10月31日,同時テロ発生後の企業の動向の変化に関する調査結果を発表した。米国企業の50%が2002年の内部予算内で通信サービスの割合を拡大するという。調査は9月27~30日に実施された。

調査結果によれば,固定とモバイル通信サービスに対する予算の割合を増加させる企業の割合は,テロで直接影響を受けた州ではさらに多くなっている。しかし企業内の設備投資とコミュニケーション・サービスのアウトソーシングに対する予算は,それほど影響を受けていない。

その他の主な結果として,ディザスタ・リカバリ・サービスを利用している企業の約50%がこれらのサービスへの予算を拡大し,別の25%の企業がディザスタリカバリ・サービス利用のオプションを検討し始めたことが明らかになった。さらに調査対象となった企業の約25%で在宅勤務がより普及するようになるという。

「米国企業の40%がしばらくの間,商用の旅行を控えるとしており,同僚,顧客,サプライヤとの会議を電話会議で行うとしている。この間,ビデオ会議やオンラインの協調作業が重要な役割を果たす。ただし,長期的にこれが完全に実際に顔を合わせる会議に置きかえられるものではない」(Gartner Dataquest社のシニア・アナリストのPeggy Schoener氏)

事業でもっとも重要な事項の優先順位では,全体として同時テロ発生後も以前と変わらず,収益と損失,低迷する経済に対処するビジネス戦略,市場競争が上位を占めた。

「大半の企業で,テロリズムがビジネスに与える影響について全体的な見極めができていない可能性はあるが,企業にとってテロ攻撃とそれに付随する事象の対策は最優先事項にはなっていない」(同氏)

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