米IBMがミドルウエア・ソフト・ベンダーの米CrossWorlds Softwareを,1億2900万ドルで買収する。両社が米国時間10月30日に最終的合意に達したことを明らかにしたもの。CrossWorlds社は,複数のアプリケーションを連携するビジネス・ソフトを手掛けているベンダーである。

 買収は株主総会の承認を経て2002年第1四半期に手続きが終了する予定。

 買収により,IBM社はeビジネス・インフラ向けソフト部門を強化する。同社のeビジネス・インフラ向けソフト「WebSphere」の売り上げは,2001年の第3四半期に前年同期比75%増を記録しており,10四半期連続で2桁の成長を遂げている。またアプリケーション連携ミドルウエア「MQSeries」も,2001年の第3四半期に前年同期比129%増である。ちなみにIBM社のソフトウエア事業の売上高は第3四半期に前年同期比9.7%増の32億ドルである。

 なおCrossWorlds社のソフトウエアはこの4年間,WebSphereに組み込まれている。CrossWorlds社は,MQSeriesのOEM供給を受けるとともに,自社製品をIBMのWebSphere Application Serverに対応させていた。

 買収完了後,以下の措置を実施する。

・IBM社の業務用インテグレーション・ソフトウエア部門がCrossWorld社の事業と従業員を引き継ぐ

・IBM社とCrossWorld社のチャネルを通じてCrossWorld社の統合ソフトウエアのマーケティングと販売を行う

・CrossWorlds製品への投資

・インプリメンテーション・サービス提供と現存の主要グローバル・システム・インテグレータとの提携を拡張

 なお,IBM社の一部門であるIBM Global Services社とは「Integration Partners」としてすでに提携関係にある。

 CrossWorlds社は,1996年設立のベンチャー企業。2000年6月にナスダック市場に上場した。カリフォルニア州Burlingameに本社を置き,米国内に7カ所の事業所とドイツ,英国など海外4カ国に拠点を持つ。授業inは350人。顧客はソニー,独Siemens,米Whirlpoolなど100社以上。2000年度の売上高は5200万ドル。

 なおCrossWorld社は,米IBMや米Microsoft,米Aribaなどの企業30数社が集まり立ち上げた,インターネットを介した電子商取引(EC)の標準化団体「UDDI(Universal Description, Discovery and Integration)」に参加している。

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