米IBMが米国時間10月26日に,モバイルe-businessに向けた音声認識ソフトウエア「WebSphere Voice Server 2.0」と「WebSphere Voice Response with Direct Talk Technology」を発表するとともに,音声事業における提携などについて明らかにした。

 WebSphere Voice Server 2.0はサーバーで動作するソフトウエア。ユーザーは音声命令によってWWWや企業データベースにアクセスし,コンピュータ音声で情報を聞くことができる。「生身の人間に近い合成音声を実現する」(IBM社)という。

 英語(米国,英国,カナダ),フランス語,ドイツ語に加え,中国語(繁体字と簡体字),イタリア語,日本語,スペイン語(欧州,米国,中南米)などの言語に対応する。発売は2001年11月を予定している。価格は1プロセサ当たり1万5000ドルで,1言語ごとに3000ドルが必要。

 WebSphere Voice Response with Direct Talk Technologyは対話型音声応答(IVR:Interactive Voice Response)ソフトウエア。音声とプッシュボタン(タッチトーン)に対応する。電話によるバンキングやオーダー・エントリといったさまざまなサービスを自動化する。VoiceXMLやJavaをサポートする。WebSphere Voice Serverとの組み合わせや,単独でも利用できる。

 IBM社はテレマティックスを視野に入れた自動車業界との提携をはじめ,PDAやモバイル機器の製造事業者,コール・センター,e-businesses関連企業などとの音声事業における提携について明らかにした。テレマティックスに向けた主な提携企業は以下の通り。

・米Johnson Controls:テレマティックス・サービス向けにIBM社の音声関連ソフトウエアを採用する。サービスはアフタマーケット版を2002年春,出荷時インストール版を2003年に開始する。

・米Intel:IBM社の「Embedded ViaVoice」とIntel社の「StrongARM」や「XScale」プロセサをベースにした車載プラットフォーム開発を進める。

・日立:「SH-4」ベースの車載向けプラットフォームをEmbedded ViaVoiceに対応させる。

・カナダのQNX:QNX社のOSをEmbedded ViaVoiceに対応させる。Intel社,日立,米Motorolaといった主要なテレマティックス・プラットフォームに対応する。

 ちなみに米Kelsey Groupによると,音声関連アプリケーションの売上高は2005年に410億ドルに達する。また,米国と欧州におけるテレマティックス市場の規模は2006年に64億ドルを上まわるという。

 Java関連の技術・製品・市場に関する情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「Java」で詳しくお読みいただけます。

◎関連記事
米Intel,車載向け無線通信製品の開発支援プログラム「ITDC」を発表
米モトローラがテレマティックスで,ドイツのBMWやアウディと契約
米インテルがStrongARM対応のテレマティックス・プラットフォームを明らかに
「欧州テレマティックス機器市場は2006年に25億ドル規模に」と米社が予測
米IBMが音声アプリ開発のツールキットのベータ版を発表,VoiceXML対応
「2007年の音声応答システム市場は2000年の約2倍に成長」と米Frost & Sullivan
「音声認識ソフト市場は2005年に27億ドル規模」と米In-Statの調査結果
W3Cが音声記述言語「VoiceXML 2.0」のワーキング・ドラフト公開

[発表資料へ]