東芝が日本時間10月18日に,C型肝炎の治療用DNAチップを開発したことを明らかにした。東芝が保有するDNAチップの電気化学検出技術を使い,患者の個体差を重視した治療を可能にするという。

 C型肝炎ウイルスの感染者は日本国内で約200万人,世界では1億7000万人にのぼるとみられている。治療には,主にインターフェロンが利用されているが,ウイルスのタイプやコピー数,患者一人一人の特製などといった要素によって治療効果がまちまちであるという問題点などが指摘されている。患者によっては治療効果がまったく現れないケースもあるという。

 東芝が開発した電子科学DNAチップは,インターフェロンが患者に有効であるかどうか,効果が期待できる患者についてはどれくらいの投薬量が適切であるかなどが解析できる。

 東芝病院の研究部がC型慢性肝炎患者158人を対象にインターフェロン治療効果と宿主側遺伝子のSNP(Single Nucleotide Polymorphisms)の関連性を調査したところ,インターフェロンと関連する2つのタンパク遺伝子が確認された。細胞内でウイルスを失活させる「MxA」遺伝子と,細胞外でウイルスと結合してそれを失活させる「MBL」遺伝子である。両者の関係は大阪大学の研究でも確認されているという。

 東芝はSNP解析が可能なDNAチップの開発でジーンケア研究所と提携しており,ジーンケア研究所のDNA技術と東芝の半導体技術やIT技術を組み合わせて,2002年度中の実用化を目指す。

 「これまでに開発されたDNAチップは大型の機器が必要であることやコストの高い蛍光染料を使って遺伝子を検出する必要があること,検出に時間がかかることなどから普及には至っていない。当社の電流検出方式を使えば,システムの小型化,チップや検査システムの低価格化が可能である」(東芝)

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