米GartnerのDataquestが米国時間10月17日に,2001年第3四半期の世界パソコン市場に関する調査結果を発表した。出荷台数は3070万台で,前年同期と比べて11.6%減となった。
「先進国市場が飽和状態にあり,2001年第3四半期のパソコン市場は引き続きその影響を受けた。同時に,米国経済の減速がパソコン市場全体に波及している」(Dataquest社Computing Platforms Worldwide グループ部門バイス・プレジデントのCharles Smulders氏)
Dataquest社によると,大量のパソコン部品がだぶついているため,ニつの大きな動きが起こりつつあるという。「一つは,大手メーカーが効率のよいサプライ・チェーンに関心を持つこと。もう一つは,ノンブランド(ホワイト・ボックス)のパソコンの復活だ。部品の供給過剰は,2002年一杯続くだろう」(同氏)
地域別でみたパソコン市場の状況は次の通り。
・欧州,中東,アフリカ地域における出荷台数の減少率は2けたに達する見込みで,これが世界市場に大きな影響を与えている。
・日本は米国経済の低下と国内の景気悪化のため,厳しい状況にある。
・中南米は前年同期に50%近い伸びをみせたにもかかわらず,今期はマイナス成長となる見込み。
・米国のパソコン市場は,3期連続でマイナス成長となった。
・メーカー別で見た場合,米Dell Computerが世界および米国市場の両方で首位となった。世界市場で出荷台数が伸びたのはDell社(約11%増)だけで,他の大手メーカーは17%から31%減少した。
・米Compaq Computerに関しては,「米HP(Hewlett-Packard)社との合併に対する曖昧な反応が不利に働いたようだ」(同氏)。一方のHP社は,世界出荷台数の伸び率が1997年第1四半期以来最低を記録した。「Compaq社と同様,HP社も米国の家庭向け市場に大きく依存しており,これが全体に悪影響を与えた」(同氏)
・米IBMは製品ラインナップの整理を続けており,得意の技術研究と開発により差別化する道を模索している。
■表1 2001年第3四半期におけるベンダー別の世界出荷台数見込み(速報値/単位:1000台) 2001年Q3 市場 2000年Q3 市場 前年 メーカー 出荷台数 シェア 出荷台数 シェア 同期比 ---------------------------------------------------------------------- Dell 4,232 13.8% 3,818 11.0% 10.8% Compaq 3,184 10.4% 4,623 13.4% -31.1% IBM 2,005 6.6% 2,422 7.0% -17.2% Hewlett-Packard 1,952 6.4% 2,588 7.5% -24.6% NEC 1,046 3.4% 1,443 4.2% -27.5% その他 18,167 59.4% 19,701 56.9% -7.8% 合計 30,586 100.0% 34,596 100.0% -11.6% 注:デスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,サーバーを含む 出典:Dataquest社(2001年10月)
■表2 2001年第3四半期におけるベンダー別の米国出荷台数見込み(速報値/単位:1000台) 2001年Q3 市場 2000年Q3 市場 前年 メーカー 出荷台数 シェア 出荷台数 シェア 同期比 ---------------------------------------------------------------------- Dell 2,731 25.0% 2,587 19.2% 5.6% Compaq 1,280 11.7% 2,234 16.6% -42.7% Hewlett-Packard 963 8.8% 1,444 10.7% -33.3% Gateway 810 7.4% 1,217 9.0% -33.5% IBM 690 6.3% 737 5.5% -6.3% Others 4,470 40.8% 5,242 38.9% -14.7% Total Market 10,944 100.0% 13,460 100.0% -18.7% 注:デスクトップ・パソコン,ノート・パソコン,サーバーを含む 出典:Dataquest社(2001年10月)
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