米IDCが米国時間10月17日に,2001年第3四半期の世界パソコン市場に関する調査結果を発表した。出荷台数は2910万台で,前年同期と比べて13.7%減。前期比では0.8%減少した。ちなみに過去数年間における第3四半期出荷台数の前期比は平均15%増だった。

 「引き続き世界的に経済が低迷しており,第3四半期も世界市場のパソコン出荷は非常に残念な数字となった」(IDC,Worldwide Quarterly Trackerプロダクツ部門バイス・プレジデントのTom Copeland氏)。

 アジア太平洋地域(日本を除く)では,7月と8月は前期と比べて若干上向いたものの,9月に消費者向けおよび企業向けがともに急降下した。米HP(Hewlett-Packard)と米Compaq Computerの合併,米国の同時多発テロ,台湾の台風被害,また政治的混迷の様相により,消費者と企業向け市場で“様子見”の姿勢が続いている。

 日本は依然として景気が悪化しており,9月はとりわけ企業向けが不振だった。

 欧州も消費者向けと企業向けが落ち込んだ。7月と8月の出荷台数が大幅に減少し,その傾向が9月も続いた。

 米国の出荷台数は前年同期比21%減少,前期比では1.7%増加した。「テロ事件前にIDCが下方修正した予測と一致する」(IDC)。1994年~2000年における第3四半期の前期比は平均14.1%増なので,当期の1.7%増という数字は従来の傾向をはるかに下回っている。

 メーカー別でみた場合,米Dell Computerが積極的な価格設定と迅速な市場対応で首位に立ち,競合社をさらに引き離した。前期と比べて世界市場で出荷台数が伸びたメーカーはDell社だけだった。

 Compaq社にとっては特に困難な四半期となり,とりわけ9月は出荷台数が激減した。HP社との合併に関する顧客の不安や米国の流通の問題,台湾の台風災害などが要因として考えられる。欧州と日本では特に不振だった。

 米IBMの出荷台数は米国市場で好調だったが,北米以外では激減した。

 HP社は世界的に振るわず,とくに日本市場で不振だった。ただし,ノート・パソコンの出荷台数は世界市場で伸びをみせた。

 米Gatewayの出荷台数は米国で若干増加したが,他の市場では大幅に落ち込んだ。米国以外の事業を縮小したためである。

■表1 2001年第3四半期におけるトップ5メーカの米国出荷台数(速報値/単位:1000台)

メーカー 01年Q3
出荷台数
シェア 00年Q3
出荷台数
シェア 前年同期比
Dell 2,731 26.4% 2,578 19.7% 5.9%
Compaq 1,108 10.7% 2,258 17.3% -50.9%
Hewlett-Packard 962 9.3% 1,442 11.0% -33.2%
Gateway 814 7.9% 1,188 9.1% -31.5%
IBM 690 6.7% 739 5.6% -6.7%
その他 4,036 39.0% 4,884 37.3% -17.4%
合計 10,341 100.0% 13,089 100.0% -21.0%

出典:IDC

■表2 2001年第3四半期におけるトップ5メーカの世界出荷台数(速報値・単位:1000台)

メーカー 01年Q3
出荷台数
シェア 00年Q3
出荷台数
シェア 前年同期比
Dell 4,232 14.5% 3,870 11.5% 9.3%
Compaq 3,197 11.0% 4,690 13.9% -31.8%
IBM 2,013 6.9% 2,454 7.3% -18.0%
Hewlett-Packard 1,952 6.7% 2,620 7.8% -25.5%
Fujitsu Siemens 1,360 4.7% 1,623 4.8% -16.2%
その他 16,369 56.2% 18.483 54.8% -11.4%
合計 29,122 100.0% 33,739 100.0% -13.7%

出典:IDC

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