米DisplaySearchが米国時間10月15日に,液晶テレビの世界市場を調査した結果を発表した。液晶テレビはTFT液晶市場で最も成長が速い分野であり,この状態は今後も続くという。2001年第2四半期の低迷にもかかわらず,10インチ以上の液晶テレビは,台数ベースで前年同期比170%増の14万6000台,売上高ベースで同220%増の1億5200万ドルに達した。

 今回の調査でサイズの大型化と縦横比率の増大,高解像度化が進んでいることもわかったという。詳細は以下の通りである。

・画面サイズ
 画面サイズ10インチ以上のグループで,2001年第2四半期の平均のサイズは15.2インチだった。これが,2003年第2四半期には16インチになる。2001年第2四半期に最も需要が高かったサイズは,13インチで市場の36%を占めた。しかしこの割合は2003年第2四半期までに25%まで下がるという。なお今後2年間に市場で優勢となるのは15インチ。また20インチが台数ベースで市場の20%,売上高ベースで24%を占めるようになる。

 韓国Samsungが最近発表した,液晶テレビ向け40インチTFT液晶は,PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)市場に焦点を当てている。この製品の経済的な製造が実現すれば,サイズの大型化傾向がさらに加速する。

・縦横比
 2001年第2四半期の縦横比15%から,2003年第2四半期は縦横比35%以上になり,より横長画面への移行が進む。HDTV放送やDVDタイトルの人気が高まっていることもあり,この傾向はさらに強まる。幅広画面で最も普及しているサイズは1280 x 768。

・解像度
 パネル当たりの画素数は,2001年第2四半期の369Kから2003年第2四半期には526Kへ増え高解像度化が進む。しかパネル・サイズの大型化も同時に進むため,ピクセル密度の大幅な向上は期待できない。今後2年間の1インチ当たりの画素(ピクセル)数は,59ppiから63ppiへとわずかに増加するにとどまる。このピクセル密度が高まらないという状況から,高解像度テレビや通常のテレビとコンピュータを統合した製品の普及には時間がかかる。

 液晶テレビ市場は今後も急拡大を続け,製品の認知度が上がるとともに低価格化も進む。2003年第2四半期までに四半期当たりの出荷台数は75万3000台,売上高は6億3000万ドルになる。

 メーカー別でみると,シャープが市場を席巻しており,2001年第2四半期における売り上げベースのシェアは86%。韓国LG Electronics/Zenithが5%,松下電器産業が3%,ソニーが3%,三洋電機が1%で,現在のところ市場で目立つのはこの5社のみ。

 市場を地域別でみると,トップは日本である。2001年第2四半期における,世界の液晶テレビ市場における日本の占める割合は77%だった。今後2年間も76~81%で推移する。

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[発表資料]