「CIO Magazine」誌を発行する米CIO.comが米国時間10月1日に,「対米テロの余波で,企業のIT投資は減少傾向にある」などとする調査結果を発表した。

 「IT支出は鈍化しているが,企業が予定しているIT投資のタイミングは変わっていない。2002年第1四半期末までにIT投資を増やす予定の回答者は37.1%,8月に増加を予定している回答者は35.6%だった。また回答者の約半数が,2002年3月にはパソコンを大幅にアップグレードする予定を立てている」(CIO Magazine誌Group PublisherのGary Beach氏)。

 回答者は,今後12カ月のIT予算を3.7%増と予測している。8月は7.2%増,昨年9月は18%増だった。また過去12カ月間のIT予算は平均3.5%増である。8月の7.2%増,昨年11月の22%増から急激に落ち込んでいる。

 カテゴリ別のIT予算配分をみると,「ストレージ・システム」が8月と変わらず堅調で,回答者の49%が予算増額を予定。減額を予定している回答者はわずか15%だった。「社外のITサービス」が8月の27%からわずかに上昇して30%。「コンピュータ・ハードウエア」が30%,「通信機器」が34%である。

 人件費の予算額は,8月と変わらず6%増。人材不足は緩和傾向にあり「人員の確保が困難」と回答したのは15%。昨年同月の76%,8月の17%から減少している。

 今後12カ月間に,IT予算のうち電子商取引関連が占める割合は16%である。過去12カ月間の14%よりやや増加しているが,昨秋の25%からは大幅に減少。しかし,「今後12カ月における電子商取引向けソフトウエアの予算を増額する計画」という回答者は39%だった。

 回答者は今後12カ月間に,インターネットによる収入(企業間,および対消費者)が売上高全体の13%を占めると見込んでいる。過去12カ月間は10%だった。

 企業のインターネットに対する関心は冷めてきており,IT予算のうちインターネット関連のアプリケーションが占める割合は,1年前の1/3から,16%へと低下している。

 第2四半期と第3四半期の比較(季節調整済み)では,76%がIT予算を「変化なし」あるいは「減額」,24%が「増額」または「大幅増額」と回答し,全体的に減少傾向にある。

 「2001年下半期にIT支出が回復する」とみる回答者は12%,「来年までは回復しない」とみる回答者は54%だった。一方,22%が「IT支出は常に増加している」と回答した。

 「多数のパソコンをアップグレードする予定があるか」との問いに,「現在アップグレード中」または「今後6カ月間にアップグレードする予定」と回答したのは48%。「アップグレードの予定なし」は33%だった。

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