比較ショッピング・サイトの米BizRate.comが米国時間9月26日に,「オンライン小売りサイトの売り上げは,9月11日の同時多発テロが起こる前のレベルにまでほぼ回復した」などとする調査結果を明らかにした。9月24日のオンライン小売店の売上高は,テロ以前の97%にまで回復したという。

 同社は,電子商取引は2001年第4四半期もこの健全な伸びを維持し,同四半期の売上高は115億5000万ドルになるとの見通しも明らかにした。

■オンライン小売りサイト売上高の推移(単位100万ドル)

日付 売上高 通常時との比較
9月10日 $92.41 100%
9月11日 $56.29 61
9月17日 $82.49 89
9月24日 $89.68 97

出典:BizRate.com社

 このほか同社は回復の理由として以下を挙げている。

・コンピュータ・ソフトウエアは目覚ましい回復を遂げた。さらに9月24日の売上高は808万ドルで,9月10日のそれを43%上回っている。

・コンピュータ・ハードウエアなど高額商品の急速な回復はみられない。9月24日の売上高は1657万ドルで,9月10日の88%にとどまっている。

・「食品/ワイン」「スポーツ/アウトドア」「アパレル」でといった商品カテゴリーは,テロがあった9月11日に大きく落ち込んだ(それぞれ通常時に比べ62%,37%,34%%)ものの回復は早かった。さらに9月11日~9月17日の売上高はテロ前(9月4日~9月10日)の売上高を上回っている。それぞれの割合は137%,113%,107%である。

・テロの日に最も落ち込んだのは「ギフト/花」で,通常時に比べた割合は62%だった。しかし人々がお悔みのギフトを送り出したことから,テロの当日から翌日にかけて直ちに回復した。

■第4四半期への影響

 BizRate.com社では,2001年におけるオンライン小売りの売上高を前年同期比25%増の115億5000万ドルと見込んでいる。また2001年10~12月の売り上げは通年の33%を占める,と同社は予測する。

 このほかオンライン小売業者は以下の傾向に注目しており,これらが2001年のホリデー・シーズンにおける電子商取引の牽引役になるという。

 ・女性:テロ後の回復と2001年のホリデー・シーズンを引っ張るのは女性。なお1998年における全オンライン・ショッピング利用者に占める女性の割合は39%だった。これが2000年には55%に増えている。

 ・優れた顧客サービス:リピート客を阻害する要因のうち,五つに三つが顧客サービスに関連するものである。すなわち,1)配送の遅れ,2)不十分な顧客サポート,3)注文追跡サービスの欠如あるいは不十分さである。これらを解決することがホリデー・シーズンを勝ち抜く鍵という。

 ・窓口の多チャネル化:繁忙期であるホリデー・シーズンの混乱を乗り切るために,またその際に顧客を逃さないために,企業は顧客窓口を広げ,複数の媒体で顧客にアプローチする必要がある。販売やマーケティングの活動においてはオンライン,オフライン,電話,カタログといったチャネルを取り入れる必要があると指摘する。

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