全米科学財団(NSF:National Science Foundation)が米国時間9月24日に,1200万ドル規模のミドルウエア開発プロジェクト「NSF Middleware Initiative(NMI)」を立ち上げると発表した。科学者や教育者がアプリケーションや科学ツール,データを共有し,インターネットを介した協調作業を行えるようにすることが目的である。

 NMIでは,さまざまなリソースにアクセスするためのネットワーク・サービス開発と導入に取り組む。モデリング・ソフトといったツールの共有,スーパーコンピュータのシステムやデータベースへのアクセス,全米および世界中の仲間とリアルタイムで行うシミュレーションなどを可能にする。

 NMIはミドルウエア・ツール開発に関する二つのプロジェクト「Globus」と「MACE」の活動をベースにし,異なるプラットフォームで動作する包括的なミドルウエア・ディストリビューション・パッケージを作成する。世界中の研究所や大学に向ける。

 NMIでは,二つのチームに融資を行う。一つは全米180の大学が参加する次世代インターネットのプロジェクト「Internet2」のチームで,IT利用の普及を図る非営利団体EDUCAUSEや南東部大学のコンソーシアムSoutheastern Universities Research Association(SURA)などが参加する。ディレクトリ,セキュリティ,ネーミングに関するNMIアーキテクチャの開発を行う。また,高等教育や研究所に向けた開発技術の普及を図る。

 もう一つのチームは南カリフォルニア大学工学部のInformation Sciences Institute(ISI),シカゴ大学,イリノイ大学のNational Center for Supercomputing Applications(NCSA),カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD),ウィンスコンシン大学マディソン校などが参加する。「GRIDS(Grids Research Integration Deployment and Support)Center」を設立し,NMIアーキテクチャの開発と統合をはじめ,NMIソフトウエア・ディストリビューションのパッケージング,テスト,サポートを行う。

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