(2001.9.14,Mitch Wagner=InternetWeek

 米Compaq ComputerのPCサーバー・ユーザーが,米Hewlett-Packard(HP)によるCompaq社買収を憂慮している。彼らは,「買収後の製品ラインアップに,Compaq社の系列をぜひ残し,改良を続けてほしい」と語る。

 Compaq社のサーバー機「ProLiant」のユーザーは,「ProLiantはコスト・パフォーマンスに優れ,管理しやすい。筐体も小さい」という評価を下している。

 「今回の買収で私が気になるのは,買収によってサーバーでどちらの技術が生き残るかだ。HP社は顧客を犠牲するのではなく,安心させてほしい」。こう語るのは,芝刈り機のメーカー米SnapperのCIOであるHoward Jones氏。

 HP社のスポークスマンは,「買収によって顧客を失うようなことはしない」と語る。両社の幹部によると,すでに製品ラインアップ統合の具体案は出来上がっている。しかし買収に関する規制があるので,現時点では話せないという。

 米Amazon.comの技術インフラ担当副社長Charlie Bell氏は,今回の買収劇を楽観的にみている。「わが社にとって買収はメリットになると信じている」(Bell氏)。Amazon.com社は1999年に,サーバー・マシンをCompaq社からHP社に乗り換えたが,両社の製品とサービスは満足のいくものだったと語る。

 Amazon.com社のWWWサイトへのアクセスが急増したときに,Compaq社はサーバーの増強に素早く動いてくれたという。この素早さをHP社が受け継いで欲しい,というのがBell氏の希望だ。

 ちなみにAmazon.com社は数千台のサーバーを抱える。1999年以前は,その90%がCompaq社のマシンだった。逆にリプレース後は,90%以上をHP社のサーバー機が占めている。

 一方で米DanaのVictor Reinz事業部でITディレクタを務めるWarren Smith氏は不安だという。HP社によるCompaq社の買収によって,「OpenVMSの陳腐化が加速するのではないか」と。同社はERPでOpenVMSを,エンジアリング部門でTru64 UNIXを利用している。

 Smith氏は,Tru64 UNIXやOpenVMSがHP-UXの前に敗れ去ることを懸念する。HP社は両社の統合によって生まれるシナジー効果を期待しているのだろうが,Compaq社の米Digital Equipment Corp.(DEC)の買収という過去の経験に照らし合わせると,そう上手くはいかないと同氏は語る。ウオールストリートも考えは同じようだ。買収の発表以来,両社の株式は下がっている。

 Snapper社のJones氏は,PDAで両社の製品が競合していることも不安視する。Compaq社のiPAQとHP社のJorbadaである。Snapper社の営業部隊はiPAQを使っているが,アプリケーションはiPAQの画面解像度に合わせて開発されている。Jornada向けにソフトウエアを書き直すかどうかは分からないという。

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