フランスのThomson Multimediaが現地時間9月10日に,MP3コーデックの新版「mp3PRO」に対応した製品とサービスの現状を明らかにした。たとえば米MP3.comは,mp3PROフォーマットの楽曲をThomson社との共同WWWサイトで配信する。

 mp3PROは,デジタル・オーディオの圧縮・伸長技術。従来のMP3ファイルに比べ圧縮率を2倍以上に高めたほか,64kbpsのビット・レートで,128kbps並みの音質を実現するところに特徴がある。

 これによりメモリに格納できるデジタル・オーディオの容量が2倍になる,またインターネット・ラジオの放送局にとってはCD並みの音質を保ちながら帯域幅を狭くできるなどのメリットがある。例えば,従来の音楽CDはディスク1枚につき平均15曲程度を保存しているが,mp3形式では150曲,mp3PRO形式では300曲以上が保存可能。

 mp3PROは,オーディオ・データを二つの部分に分けて符号化する。一つは既存のMP3との互換性を保つための部分,もう一つはmp3PRO独自部分である。こうすることでオーディオMP3形式のファイルおよびMP3を扱えるプレーヤとの互換性も確保しており,従来のMP3ファイルをmp3PROのプレーヤで再生することも可能にした。また逆にmp3PRO形式で圧縮されたファイルを従来のMP3プレーヤで再生することもできる。ただし,音質に関しては,mp3Proで符号化および復号化を行った場合が最も高くなる。

 今回発表したmp3PRO対応製品は以下の通り。

・米MP3.comのコンテンツ。mp3PROフォーマットの楽曲をThomson社との共同WWWサイトで配信する。32kbpsのlcs(low-complexity-stereo)と80kbpsのPRO-fiで提供する。MP3.com社とThomson社は,mp3PROエンコーダのデモ版や,「WinAmp」向けプラグインのプロモーションに関しても協力体制を敷く。WinAmp向けプラグインはThomson社のwww.thomson-multimedia.comhttp://www.rca.comwww.singingfish.comで配布している。

・ドイツのAhead SoftwareのCD書き込みソフトウエア「Nero」。www.nero.comからダウンロード可能。

・米InterTrust Technologiesのデジタル著作権管理(DRM)プラットフォーム「Extensible Media Audio(XM Audio)Framework」。

 また,Thomson社はmp3PROに対応した最初のポータブル・プレーヤとして「LYRA Personal Jukebox」を今年中に発売する。ハード・ディスク容量は10Gバイトで,数千曲の音楽を記録できる。

 ちなみにmp3PROのデモ版は150万件ダウンロードされたという。

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[Thomson Multimediaの発表資料]
[www.prnewswire.comに掲載の発表資料]