「消費者のパソコン購入意欲がこの6カ月間で著しく減退しており,1997年以来最低の水準に落ち込んでいる」。市場調査会社の米Odysseyが米国時間9月10日に調査結果を発表した。

 調査はOdyssey社が米国の2500世帯を対象に実施,回答を得たもの。同社は半年に一度,民生機器や関連サービスの所有状況や利用状況を集計している。調査は1994年に開始した。

 「景気の先行き不透明感から消費者のあいだに不安感が募っており,購入意欲の低下を招いている。パソコン販売の2001年年末商戦は厳しいものとなりそうだ」(Odyssey社社長兼CEOのNick Donatiello氏)。

 需要減への対応策として,ほぼすべてのパソコン・メーカーが価格を軒並み下げている。Donatiello氏は,「こうした価格戦争は一時的には販売増をもたらすが,業界が直面している問題の根本部分を解決することにはならない。メーカーは,消費者に『パソコンを買い換えたいな』と思わせるような新機能やメリットなどの提供に力を入れるべきである」と指摘する。

 Odyssey社が,「今後6カ月間以内にパソコンを買い換えようと考えているか」と質問したところ,「買い替える可能性が非常に高い」と回答した人はわずか7%にとどまったという。2000年1月時点は12%,2001年1月時点は10%だった。カテゴリとしては,パソコンをすでに保有している世帯における購入意欲減退が最も大きく,ここ1年間で13%から8%へと5ポイント下げている。

 「パソコン・メーカーは,リピーター客を失いつつある。従来は,こうしたリピーターがよりパワフルなマシンを求め,高い価格のマシンを購入していた」(Odyssey社Managing DirectorのSean Baenen氏)。

 米国世帯のパソコン普及率は現在60%。最近6カ月間にわたり伸びは見られず,横這いの状態が続いているという。一方で,広帯域接続の利用は11%から17%へと大きく伸びている。Baenen氏は,「パソコン・メーカーは,広帯域接続サービス対応パソコンや広帯域サービスのメリットを効果的に使いこなせるような通信機能などを提供することで,単なる値下げには魅力を感じないユーザー層を引き付けることができるはず」と指摘する。

 また,米国世帯のインターネット利用率は現在53%で,こちらもパソコンの普及率と同様に横這いとなっているという。内訳をみると,インターネットを利用していない世帯のほとんどは,「パソコンを所有していない世帯」となっている。

 「パソコン・メーカーはこうしたパソコン未所有世帯層を引き付けるよう努力すべき。こうした層の取り込みができなければ,オンライン・サービス業界も連鎖反応で打撃を受けることになる」(Donatiello氏)。

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