「テレマティックスに使われるコンピュータの性能は,5年以内に現在のデスクトップ・パソコンに肩を並べるほどになるだろう」。テレマティックスの市場調査を手がける米Telematics Research Groupが米国時間9月7日に研究・調査結果を発表したもの。
2006年までに,全世界で3000万台以上のテレマティックス搭載車が走るようになり,それらには32ビットRISCプロセサや最大512Mバイトのメモリが搭載されるようになるという。
自動車産業で使われる「テレマティックス」という言葉は,車載/組み込み電子機器のシステムや技術を指す。無線音声/データやGPS(Global Positioning Systems)といった通信技術を用いる。
同社の予測する将来のテレマティックのハードウエア構成は以下の通りである。
■2006年におけるテレマティックスのハードウエア
廉価機器 | 高性能機器 | |
標準価格帯 | 200ドル~300ドル | 600ドル~800ドル |
アップグレード | 制限あり | モジュール構造で ユーザーで交換可能なユニット |
プロセサ | 32ビットRISC,300MHz | 32ビットRISC,900MHz |
メモリ | RAM:128Mバイト メモリ・カード:128Mバイト |
RAM:512Mバイト メモリ・カード:512Mバイト |
大容量記憶装置 | なし,またはDVD/CDプレーヤを利用 | 5GバイトのHDD, 消去可能DVD |
ユーザー・インタフェース | 音声認識, テキスト読み上げ | 音声認識, テキスト読み上げ WWWブラウザ, VGAディスプレイで表示 |
ディスプレイ | 数行表示 | 640×400カラー(駐車中) ヘッド・アップ・ディスプレイ (オプション) |
インタフェース | USB | USB IDB-1394またはMOST |
無線接続 | 赤外線(115Kbps) 携帯電話 (2.5G/3G,50Kbps~200Kbps) Bluetooth(720Kbps) |
赤外線(4Mbps) 携帯電話 (2.5G/3G,50Kbps~384Kbps) Bluetooth(720Kbps/2Mbps) IEEE 802(11Mbps) |
その他 | GPS受信機 スピーカとディスプレイ DVD/CDプレーヤ (オプション) |
GPS受信機 スピーカとディスプレイ 衛星ラジオ受信機 (音楽と情報受信用) ユーザー認証用の バイオメトリクス認証装置(オプション) |
出典: Telematics Research Group社
テレマティック・システムは,将来PDAや携帯電話用のドッキング・ステーションとしての機能を持つ,とTelematics Research Group社は予測する。「PDAなどをテレマティック・システムに接続することで,自動車の安全性を高める以外にユーザー個人に合わせた使い方ができるようになるだろう」(同社)。
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