米司法省(DOJ)は米国時間9月6日に,米Microsoftの独占禁止法違反訴訟において同社の分割を求めないとの方針を明らかにした。「消費者の救済を念頭に置いた,迅速で効果的かつ確実な解決を求めるため」(米司法省)としている。

 司法省は分割を求めない旨を,Microsoft社にも通告した。Microsoft社の独占禁止法違反をめぐる訴訟は,2000年6月にワシントン連邦地裁がMicrosoft社に対して会社を2分割する是正命令を下したが,Microsoft社がこの判決を不服として米連邦高裁に控訴。米連邦高裁は2001年6月28日に,「Microsoft社がOS市場における独占を維持するために不法な経営を行ったとする連邦地裁の主張を一部認めるものの,2分割是正命令を破棄する」として審理の差し戻しを命じた

 審理の差し戻しを受けた米連邦地裁は,追加の訴訟手続きがある場合などについて9月14日までに意見書を共同で提出するよう命じており,今回の発表はこれに応えたもの。

 OSに関するMicrosoft社の独占禁止法違反が米連邦高裁で認められたことから,米司法省は「Microsoft社の不当な経営を打ち切らせ,OS市場の開放をすすめる解決措置の基盤は整っている」との考えを示した。

 米司法省は再審理で,会社分割以外の是正措置の検討を求めていく方針である。

◎関連記事
米マイクロソフトの独禁法訴訟,EUが再び「クロ」判断で通告
米連邦高裁がマイクロソフト分割命令を覆し,再審理を求める
米マイクロソフト独禁法裁判の差し戻しが意味する“次”
米連邦高裁のMicrosoft分割命令差し戻し判決に,二つの業界団体が声明を発表
【TechWeb特約】Microsoftの控訴審日程が決定,法廷は来年2月末に再開
地裁のJackson判事,Microsoft独禁法裁判の審理を最高裁に要請
Microsoft,独禁法裁判で一審敗訴:上級裁に向けて駆け引き激化
一幕が終わったMicrosoft独禁法裁判,“完勝"司法省の憂鬱

[発表資料へ]