米MSが「Pocket PC 2002」を発表，企業ユーザーを強く意識，出荷は10月4日

横田英史

2001.09.07

米Microsoftが米国時間9月6日に，携帯情報端末（PDA）向けOSの新版「Pocket PC 2002」を発表した。米サンディエゴで開催中の「DEMOmobile 2001」で披露したもの。

　Pocket PC 2002のリリースは10月4日を予定している。Microsoft社と提携のハードウエア・ベンダー各社がPocket PC 2002のリリースに合わせ，搭載機を投入する。サンフランシスコとロンドンでイベントを催す。
　Pocket PC 2002ではインタフェースを刷新し，通信機能や企業ユーザー向け機能などを拡充した。主な新機能の詳細は以下の通り。

・「Today Screens」のカスタマイズ機能や自動コンフィギュレーション機能などを拡充した。Windows Media Playerの新版「8」を搭載する。電子ブック閲覧ソフト「Microsoft Reader」の新版「2.0」を組み込む。Palm OS機との相互運用性も高めた。

・企業ユーザー向けとして，「Terminal Services」と呼ぶWindowsベースのサーバーへのアクセス機能を装備。パスワードによるセキュリティ機能やVPNへの接続機能などを備える。

・802.11b，Bluetooth，CDPD （Cellular Digital Packet Data），GSMに対応可能な仕組みを用意し，ネットワーク機能を拡充した。同期化の遠隔操作機能の向上も図った。同期化機能は「ActiveSync」の新版「3.5」に対応する。「3.5」では電子メールの受信箱のサブフォルダに対する同期化機能などに対応した。「MSN Messenger Service」には，ユーザーが頻繁に使うメッセージの表現をあらかじめ設定できる新機能「My Text」を加えた。

　Microsoft社がPocket PCをライセンスしているハードウエア・ベンダーには，米Hewlett-Packard（HP）のほか，カシオ計算機，米Compaq Computer，Cesscom，Compal Electronics，HTC，DTW，Intermec Technologies，Legend，三菱電機，Sagem，Symbol Technologies，東芝がある。

　なお，Microsoft社は9月5日（米国時間）に，2002年会計年度の研究開発費を50億ドルとすることを発表しており，そのなかで「触れたり傾けたりといった動きを感知するハンドヘルド機器向けアプリケーション『Sensing Pocket PC』を開発中である｣ことを明らかにしている。

　PDA市場では，Palm OS機の販売が大幅に落ち込む一方で，Pocket PC搭載機のiPAQ，Jornadaが台数を倍増させており，Palm OSを猛追している。（詳細は既報「急ブレーキの世界PDA市場，Q2は実に前期比21％減，明暗クッキリのPalmとiPAQ」）。