米Microsoftは長期的なコンピュータ科学の研究に注力するという。同社会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクトのBill Gates氏が米国時間9月5日に,同社研究部門「Microsoft Research」の10周年記念イベント「Future Forum」で研究開発への取り組みなどについて語った。

 「10年前,コンピューティングにおける最大の課題に焦点を当て,Microsoft Researchを開設した。最大の課題とは,コンピュータが見て,聞いて,学習すること。そのための技術が開発できれば,コンピュータとまるで友達のように自然な会話ができるようになる。我が社はこれまで驚くほどの技術進歩を遂げてきたが,まだ成すべきことは山積みだ。現在の経済状況に惑わされることなく,コンピュータ業界と政府機関は長期的な研究投資を続けるべきである。基礎研究なくして,次世代に向けた技術基盤を築くことはできない」(Gates氏)。

 また,同社は現在進行中のプロジェクトについても明らかにした。主な内容は以下の通り。

・触れたり傾けたりといった動きを感知するハンドヘルド機器向けアプリケーション「Sensing Pocket PC」

・中国語のテキスト読み上げソフトウエア

・ルネッサンス絵画などから3次元(3D)モデルを作成する3Dアート再構築ソフトウエア

・デスクトップ・カメラを使ってユーザーの状態を判断しつつバディ・リストを作成するワークグループ向け通信ツール「SideShow」

・デスクトップ・カメラでユーザーの顔を即座にスキャンして3Dモデルを作成し,個人向け通信や電子商取引サイト,ゲームに利用できるようにするマッピング・ソフトウエア

 Microsoft Researchはコンピュータ科学とソフトウエア設計の基礎および応用研究を目的として1991年に開設。現在600人以上の従業員を抱え,40以上のコンピューティング分野に関して研究を進めているという。Microsoft社は会計年度2002年に約50億ドルの研究開発経費を投じる計画である。

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