米IBMが米国時間8月28日に,金融サービス業界やスポーツ業界が,Linuxと同社のハードウエア,ソフトウエア製品,サービスを導入したシステムへと移行しつつあるなどと発表した。同時にLinux向けセキュリティ製品などの発表も行った。金融サービスを手がける顧客の強い要望に応えるものだという。

 IBM社はこれら業界でLinuxの導入が本格化していると説明する。一例として,NYSE(ニューヨーク証券取引所)やAMEX(アメリカン証券取引所)の技術パートナー企業である米Securities Industry Automation Corporation (SIAC)を挙げている。SIACは「ARTMAIL」と呼ぶ売買トランザクションのレポート・システムをLinuxベースに移行するという。IBM社によると,SIACは米Sun Microsystemsの「SPARC」サーバーをIBM社の「eServer zSeries」に切り替える。

 またスポーツ業界では,USオープン(テニス選手権)の公式WWWサイト(http://www.usopen.org)がそのITインフラにLinuxを導入し,トーナメント開催中のサイト・トラフックを処理するという。なおLinuxに移行した他のスポーツ・イベントには,ウィンブルドン(全英テニス選手権),ナショナル・ホッケー・リーグ,PGA(Professional Golf Association)などがあるという。

 IBM社が同日発表したのは,Linux向け暗号コプロセサのPCIカード「IBM 4758」や米Tivoliのセキュリティ管理製品「Tivoli Policy Director」「Tivoli Risk Manager」「 Tivoli Security Manager」,英RISC Contingency Servicesとの提携によるリカバリ・サービス向け技術の提供,などである。

 IBM社は2000年12月に同社のLinux戦略について明らかにしており,2001年度にLinuxに10億ドルを投資するなどと宣言していた。さらに同社は2001年1月31日に,Linux関連のサービスに今後3年間で3億ドル以上の追加投資を行い,新たなサービスを開発していくなどと発表していた。

 Linuxに関する情報は総合IT情報サイト『IT Pro』の「Linux」で詳しくお読みいただけます。

◎関連記事
HPがLinux向けのセキュリティ・プラットフォームや組み込みJavaを発表
■<独SuSEが大企業サーバー向けLinux「SuSE Linux Enterprise Server 7」,カーネルは2.4
米インテルがLinux用コンパイラの新版を発表,「Itanium/Pentium 4の処理性能を引き出す」
米レッドハットがカーネル2.4搭載の「Red Hat Linux 7.1」をリリース
【TechWeb特約】Linuxカーネル次期版「2.5」は企業向けサーバー機能強化
米IBMがLinux戦略を明らかに,Linuxに3億ドルを追加投資へ
米IBMがLinuxに10億ドルの「賭け」
<Linux市場調査関連>
2001年のLinux市場は前年並み154%成長,課題はサポートと保守層への浸透
2000年のサーバー市場は前年比7%増,米IBMが首位堅持,Linuxが132%増の躍進

[www.ibm.comに掲載の発表資料1]
[www.ibm.comに掲載の発表資料2]
[www.ibm.comに掲載の発表資料3]