米IDCが米国時間8月27日に,世界の携帯電話機市場の成長予測を発表した。2001年の成長率は3%にとどまり,出荷台数は4億1200万台となる見込み。2000年から2005年までの年平均成長率は10.9%。2005年の出荷台数は6億7200万台の規模に達するという。

 「携帯電話業界のPRには誇大広告が目立ち,そうした宣伝から期待されるものがきちんと提供されていない」(IDCシニア・アナリストのWeili Su氏)。

 通信関連分野の不振,第2.5世代/第3世代携帯電話機の開発の遅れ,次世代ネットワーク・サービスの提供開始の延期など,短期的には懸念材料が少なくない。

 「携帯電話市場の回復は,買い替え需要の盛り上がりにかかっている。しかし,日本をはじめ欧州,米国の各市場で次世代サービスの提供開始が次々と延期されており,これでは携帯電話機の買い替えも遅々として進まないという状況である」とIDCは指摘する。また,携帯電話機ベンダーは,ここへきて初めて2.5G/3G向け端末に関する技術面でのトラブルなどが少なくないことに気づき始めているという。

 景気がさらに悪化することになれば,携帯電話機市場もその影響を免れない。「米国のIT不況がさらに深刻化し,欧州およびアジアでも悪化すれば,2002年にいくら新サービスを投入したところで,当の個人需要は冷え込んだままということになる」(IDC,Mobile and Desktop Research部門担当副社長のRandy Giusto氏)。

 短期的に回復基調へと向かう可能性はあまり期待できないが,中長期的には2.5G/3Gが携帯電話機市場を押し上げる牽引車となることは間違いない。ユーザーを引き付けるコンテンツやアプリケーションが値ごろ感のある料金で提供されるようになるとIDCはみる。

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