(2001.08.20,L. Scott Tillett=InternetWeek

 米Microsoftが「Windows XP」と「Internet Explorer 6(IE6)」にJava仮想マシン(VM:Virtual Machine)を搭載しないと表明したことを受け,米Sun MicrosystemsはWindows XPおよびIE6に向けたJava仮想マシンを新たに開発中であることを明らかにした。ただしSun社が準備中の仮想マシンは,ユーザーが手作業でインストールを行う必要がある。

 Windows XPとIE6からJava仮想マシンがはずされると,WWWサイト運営者はJavaアプリケーションがユーザーのデスクトップ・パソコンで動作することを前提にできなくなる。このような事態を招いたのは,Microsoft社が許可なしにJavaに変更を加えたとして,Sun社がMicrosoft社を1997年に提訴して以来続いている両社の確執が根底にある。

 Javaは多数のWWWサイトで採用されており,バナー広告に自動的にアニメーションを加えるなどの使われ方がされている。

 「Windows XPがJavaをネイティブ・サポートしないことにより,Javaに代わる技術を採用するサイト運営者が増えるだろう。実際,Microsoft社はWindows XPに『C#』と呼ぶJavaに似た自社技術を搭載する。C#が普及すれば,WWWサイトはJavaとC#の両方に対応しなければならない」(米Giga Information GroupアナリストのRob Enderle氏)。

 「これまでは,Java開発者が複数の仕様に対応したJavaプログラムを開発するか,あるいは最新のJava仕様に対応した仮想マシンを新たに追加インストールしなければならなかった。そのため,Java対応のスタンドアロン・プログラムやアプレットのインストールによって,予期せぬ結果を招きがちだった」(Houston Java User Group議長のArnaud Lucas氏)。

 IE6ユーザーはMicrosoft社製のJava仮想マシンをダウンロードすることができる。しかしMicrosoft社のJava仮想マシンは,旧バージョンの「1.1.4」をベースにしている。一方Sun社が準備中のWindows XP向けJava仮想マシンは,最新バージョンのJava技術に基づく。「10月のWindows XP発売時に間に合うようにする」(Sun社)という。

 もっとも,Javaをデスクトップ・パソコンに搭載する必要はないという声もあがっている。クライアント側で行うJavaアプリケーションのタスク処理の多くはサーバー側で行うことができるからだ。

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