「2001年第2四半期の顧客満足度総合指数は,前期比0.1ポイント減の72.1なった。夏の後半から秋のはじめにかけての消費は堅調に推移する。リセッション(景気後退)への突入は回避できる可能性が高い」。産業別の顧客満足度を調査している米国の政府機関American Society for Quality(ASQ)が米国時間8月20日に,2001年第2四半期の「American Customer Satisfaction Index(ACSI)」総合指標を発表した。
ACSIは,消費者による顧客満足度の指標で,ミシガン大学ビジネス・スクールが1994年に開発した指標を採用しているもの。調査対象は,耐久消費財(自動車,パソコン,家電,民生機器),非耐久消費財,小売,サービス,運輸/通信など。
ミシガン大学ビジネス・スクールClaes Fornell教授によれば,「顧客満足度指数と個人消費の間には強い相関関係がある」という。すなわち,ACSI指数をみることで,今後の個人消費の動向が分析できるとしている。
「景気が弱含みのなか,米国の個人消費はペースとしてはやや減速しているものの,依然として堅調である。第3四半期もわずかに落ち込む程度で,現状のレベルをほぼ維持するとみられる。所得税減税の割戻しが消費を刺激し,プラス成長となる可能性も高い」(ミシガン大学ビジネス・スクールClaes Fornell教授)。
顧客満足度指数をカテゴリ別にみると,「自動車」部門だけが前期比でプラスを記録した。自動車は,前年同期比タイ,前期比1.3%増の80ポイントだった。メーカー別にみると,米General Motorが最も高く,88ポイントで首位だった。日本企業は,本田技研工業のHonda Motor Companyとトヨタ自動車(Toyota Motor Company)がそれぞれ82で4位タイとなっている。
伸び率が最も高かったのは,韓国のHyundai Motorで,指数は1999年の68から,2000年には76,今回の調査では81へと大きく改善した。米FordはFirestone社製のタイヤのリコールなど大きなトラブルに見舞われたが,顧客満足の点で打撃はほとんどなかった。
「パソコン」部門では,総合指数が前年同期比4.1%減,前期比9.0%減の71となった。主要ベンダー6社全社が前年同期比でマイナスとなった。
首位は,米Dell Computerで,前年同期比2.5%減の78だった。2位は米Apple Computer(2.7%減),米Gateway(同6.4%減),米Hewlett-Packard(同1.4%減)の3社が73で並んだ。5位は米IBMで71(5.3%減),6位は米Compaq Computerで69(2.8%減)という結果だった。
カテゴリ | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 前年同期比 (%) |
前期比 (%) |
耐久消費財 | 79.8 | 78.8 | 78.4 | 77.9 | 77.3 | 79.4 | 78.7 | -0.9 | -0.6 |
パソコン | 75 | 73 | 70 | 71 | 72 | 74 | 71 | -4.1 | -9.0 |
Dell Computer | NM | NM | 72 | 74 | 76 | 80 | 78 | -2.5 | 8.3 |
Apple Computer | 75 | 76 | 70 | 69 | 72 | 75 | 73 | -2.7 | -5.2 |
Gateway, Inc. | NM | NM | NM | 76 | 76 | 78 | 73 | -6.4 | -3.9 |
Hewlett-Packard | 80 | 77 | 75 | 72 | 74 | 74 | 73 | -1.4 | -6.4 |
IBM | 78 | 74 | 71 | 74 | 73 | 75 | 71 | -5.3 | -9.0 |
Compaq Computer | 77 | 74 | 67 | 72 | 71 | 71 | 69 | -2.8 | -11.5 |
その他 | 70 | 73 | 72 | 69 | 69 | 68 | 67 | -1.5 | -4.3 |
民生機器(TV & VCR/DVD) | 81 | 81 | 80 | 79 | 83 | 83 | 81 | -2.4 | -2.4 |
「通信」部門では,CATVと衛星TVの総合指数が64で,首位は米EchoStar Communicationsの71。以下2位が米DIRECTV(70),3位米Comcast(64),4位AOL Time Warner(63),5位米Charter Communication(63)という結果だった。米AT&Tは「その他全体」の平均と同じ62だった。CATV/衛星TVは,2001年の調査で新項目として加えられたカテゴリであるため,前年までの数値はない。
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