「職場における従業員の個人的なインターネット利用で,米国の企業は年間630億ドル(7兆8500万円)の損失を被っている」。米Websenseが米国時間8月1日に,職場におけるインターネット利用に関する調査分析結果を明らかにした。

 「ネットはこれまで生産性を高めるツールとして認識されていた。しかし今や最大の娯楽となっている」(Websense社)。

 同社は米Gartner GroupのDataquestや米IDCの調査結果を引用している。それによると,2001年において米国企業でインターネットにアクセス可能な従業員数は5700万人以上(Dataquest社調べ)。また従業員のインターネット利用のうち40%が仕事に関係のない目的で使われている(IDC調べ)という。従業員はエンターテインメントやショッピング,ポルノ・サイトに興じているのだという。

 「この結果として企業は年間で数百億ドル相当の損失を被っている。トラフィックの損失や記憶装置のコストなどを考慮すれば,さらに膨大な金額になる」(Websense社マーケティング副社長のAndy Meyer氏)。

 この試算結果は,米労働省が報告した単位時間当たりの生産性とも一致するという。2001年の第1四半期における米国人の単位時間当たり生産性は,過去8年間で最大の落ち込みを示したという。「生産高は伸びたものの,労働時間がこれに比べ2倍長くなったので,このような結果になった」(同社)。

 このような状況から,企業が従業員のインターネット利用に制限を加えるか,または完全に遮断する,といった状況が生じる可能性がある,と同社は予測する。

 一方で「長時間働く人々は,少しくらいなら個人的用事をオフィスで済ませるとは必要と考えている」という調査結果もある。調査では68.4%が「仕事と無関係なインターネット利用でも,休み時間なら許されるべき」と回答している。

 なおWebsense社は,従業員のインターネット利用を管理するソフトウエアを手がける会社である。

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