米Motorolaがドイツ時間7月31日に,テレマティックスに関してドイツBMWおよびドイツAUDI AGのそれぞれと契約を結んだことを明らかにした。

 BMW社とは,複数車種に向けたテレマティクス・ソリューションの開発と供給に関して提携する。欧州,米国,日本で販売する乗用車向けである。

 ここでいう「テレマティックス」は,車載/組み込み電子機器のシステムや技術を指す。無線音声/データやGPS(Global Positioning Systems)といった通信技術を用いる。

 今回のBMW社との契約は,数億ドル規模の取引になるとMotorola社は見込んでいる。テレマティックス・システムの開発にあたり,Motorola社は同社の車載/組み込み向け電子技術,無線通信システムの技術,GPS技術などを組み合わせる。

 このほかMotorola社は,RTTI(Real Time Traffic Information)を使った分散ナビゲーション,診断,マルチメディア対応といった将来の応用に向けた技術についても,「これらの専門的技術/知識を組み合わせでBMWに乗ったドライバーが求めるテレマティックス・ソリューションに取り組んでいく」(Motorola社)とする。

 AUDI AG社とは6年間の契約を結ぶ。共同でインフォテインメント(情報と娯楽)システムを開発する。Audi車のドライバーに対し,「自動車のライフサイクル全般にわたって常に最新のサービスを届けるインフォテインメント・ソリューションを提供する」(Motorola社)。

 このインフォテインメント・システムの無線ゲートウエイにはMotorola社の「Telematics Communication Unit(TCU)」を使う。ドライバーは,Audiのポータルやディレクトリを介してテレマティックス・サービスにアクセスできる。また共同開発するシステムでは,Motorola社の通信ソリューションも取り入れる。JavaやMOST(Media Oriented System Transport)をベースにする。

 TCUはGPS受信機および無線通信技術を取り入れたシステムで,携帯電話の音声/データ通信機能を組み合わせている。車載のハンドフリー電話機に加え,GSMデュアルバンド技術とGPRS(General Packet Radio Services)技術をベースとしたテレマティックス・サービスとインターネット・サービスを提供する。将来のUMTS(Universal Mobile Telecommunications Systems)方式にも拡張可能で,Bluetooth機能も備えている。PDA(Personal Digital Assistant)やノート・パソコンといった他の機器とのデータやりとりが可能である。

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[発表資料(BMW社との提携)]
[発表資料(AUDI AG社との提携)]