WAP(Wireless Application Protocol)の標準化を進める業界団体WAP Forumが米国時間8月1日に,「WAP 2.0」のパブリック・レビュー版をリリースしたことを明らかにした。WAP ForumのWWWサイトで公開している。

 WAP Forumによれば,現在までに仕様55段階(stage)のうち41段階までについて承認が得られており,向こう30日間で全てのプロセスが完了する見込みである。

 WAP 2.0向けの記述言語としてはWML(Wireless Markup Language)2.0を使う。XHTMLやスタイルシートCSS(Cascading Style Sheets) Mobile Profileに対応する。パソコンなどのアプリケーションとの互換性を高めた。また,CSSを用いることで一つのコードから複数種類のXML文書の作成を可能となるため,必要なメモリ容量を小さくできる。

 2.0は新機能として,データ同期化機能,マルチメディア・メッセージング・サービス(MMS:Multimedea Mesaging Service)機能,携帯電話のデータ管理機能(Persistent Storage Interface),端末の遠隔管理機能,ピクトグラム(絵文字や絵グラフ)機能などを備える。無線テレフォニ(WTA:Wireless Telephony Application),User Agent Profile (UAPROF)などの機能向上を図った。セキュリティ機能としては,TLS(Transport Layer Security)プロトコルに対応する。

 データ同期化機能はSyncMLプロトコルをベースとしており,Wireless Session Protocol(WSP)とHTTP/1.1の両方のプロトコルに対応する。MMS機能は,ユーザーの好みに応じて様々なコンテンツを送受信できるようにカスタマイズできる。

 Persistent Storage Interfaceは,携帯電話のデータの編集/管理,アクセス,保存,検索などの機能を備える。端末の遠隔管理機能は,ネットワーク管理者が端末を管理するために用いる。

 WTAでは,データ通信中でも,通話の発信,受信,保留,リダイヤルなどを可能とする。転送などにも対応する。UAPROFは,アプリケーション・サーバーが端末に合った適切なコンテンツをユーザーに送信するための機能。画面サイズやカラー表示対応であるかなど,端末の機能に応じたコンテンツを送る。

 携帯電話機ベンダー大手のフィンランドNokia,米Motorola,スウェーデンEricssonの3社は同日,WAP ForumによるWAP 2.0のパブリック・レビュー版の支持を正式に表明した。3社はこの新版に対応する製品やコンテンツ,サービスの開発に取り組むことも明らかにした。

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[WAP Forumの発表資料](PDF)
[Nokia社の発表資料]
[Ericsson社の発表資料]

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[機能別・仕様のリスト]