米Intergraphと米IntelがRISCチップ「Clipper」の特許権を巡って争っている裁判に関し,Intergraph社が米国時間7月30日に係争を拡大したことを明らかにした。

 Intergraph社は同日,Intel社のItaniumプロセサがIntergraph社の特許を侵害しているとしてテキサス州東地区連邦地裁に提訴したもの。

 Intergraph社はこれまでIntel社のPetiumプロセサを対象にIntel社を提訴してきたが,今回はItaniumプロセサを対象として新たな訴訟を起こしたもの。

 訴状によれば,Intel社のItaniumプロセサに組み込まれている並列命令実行技術「Explicitly Parallel Instruction Computing(EPIC)」が,Intergraph社の所有する並列命令実行技術に関する二つの特許技術を侵害しているとしている。Intergraph社が主張している技術は,コンパイラが出力した並列実行命令をハードウエアに伝える技術と,処理の経路指定を実行する技術。同社が1992年に開発したという。

 なお,EPIC技術はItaniumプロセサの根幹となる技術で,Intel社によれば,EPIC技術の組み込みによりItaniumベースのシステムはRISCプロセサ搭載機に比べ,オンライン・セキュリティ・トランザクションの処理性能が最大で12倍であるという。

 両社の係争は1997年11月17日にIntergraph社がIntel社を不法行為,特許侵害,独禁法違反の3点で提訴したことに端を発したもの。

 Intel社は,Clipperの開発元Fairchild Semiconductor社をIntergraph社とともに買収した米National Semiconductor(NS)とクロスライセンス契約を1987年に締結。この契約をもとにIntel社は,「Clipperの特許もNS社との契約に含まれている」と主張している。なお,Intergraph社の方はClipperを開発したFairchild社Advanced Processor部門を買収している。

 1999年6月にアラバマ州北地区連邦地裁にEdwin Nelson判事は,「Intel社とNS社のクロスライセンス契約に子会社は含まれず,Intel社は特許を使う権利をもたない」との判断を示した。しかし,同年10月の裁判では一転して「特許権を管理しているのはNS社。Intel社は1976年にNS社との契約締結によって特許の使用権を得た。したがって,Intergraph社の特許を使う権利をもつ」(同判事)として,判断が完全に覆った。

 ところが,2001年3月の判決では,「契約書や文書などに,Intel社の主張を裏付けるものは一切見当たらず,Intel社の解釈は不当に曲解していると言わざるを得ない」と判断,再び逆転している。

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