米Jupiter Media Metrixが米国時間7月26日に,「インターネットのポップアンダー広告は高いリーチを獲得しているが,消費者を引き付けていない。かえって敬遠されるという結果を生み出している」とする調査結果を発表した。

 ポップアンダー広告とは,ある特定のWWWページを開くと,同時に提携企業のプロモーション・ウインドウがそのページの後ろ(裏側)に立ち上がるというもの。消費者が特定のWWWページを閉じると忽然と現れる。ポップアップ広告に対し,視聴サイトの後ろに隠れて表示されるため,「ポップアンダー」と呼ばれる。

 カメラ・メーカーの米x10.comは,米MicrosoftのMSN.comや米Yahoo!などとの提携により,超小型無線カメラのポップアンダー広告を大々的に展開している。Jupiter社が発表した6月のWWW視聴率ランキングでは4位に入った

 2001年5月におけるx10.com社のリーチは32.8%,4月の17.5%からほぼ倍増した。獲得したユニーク・ビジター数は2800万人強にのぼる。しかしその一方で,20秒以内にウインドウを閉じてしまう人が全体の73%に達しており,WWWサイト全体のトラフィックとしては非常に小さい。また,ポップ・アンダー広告のトラフィックを除いたユニーク・ビジター数はわずか270万程度。このうち3分以上視聴したユーザーの数は120万で,ユニーク・ビジター数全体の4.2%にとどまっている。

 「リーチだけをみれば,x10.com社のキャンペーンは大成功。だが,広告展開を強化するあまり,受け取る消費者の方は押し付けがましいと感じるようになってきている。消費者はリモコン操作でTVのチャンネルを素早く切り替えるように,こうした広告をほとんど視聴することなくすぐさま排除しているようだ」(Jupiter社シニア・アナリストのMarissa Gluck氏)。

 通常ポップ・アップ広告では,1ユーザーの1セッションのブラウジングにつき表示を最大2回までとするなど回数制限を設定しているが,x10.comサイトはそのような制限を全く設けていない。そのため,広告表示回数がおびただしい数に膨れ上がっているという。

 x10.com社のほかにも,米eBay傘下のHalf.com社や米RealNetworksのReal.com社,Colonize.com社などもポップアップやポップアンダーの広告展開で,ユニーク・ビジター数の大幅増を達成している。Jupiter社は今後もこうした手法に追随する企業が少なからず出てくるとみる。

 「マーケティング活動の最終目的として獲得するものはWWWサイトのトラフィックではないはず。こうしたマーケティングの手法は向こう6カ月から9カ月のうちに姿を消すだろう。導入を検討中の企業は考え直すべき」(Jupiter社)。

 「オンライン・マーケティングでは,まず消費者が自らの意志でWWWサイトの視聴を行うという消費者の自由ないし“権利”を尊重するべきだ。その上でターゲットを絞った広告やユーザーが必要とする情報の提供を行うことがオンライン・マーケティングの成否のカギとなる」(Gluck氏)。

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[発表資料]