米AT&Tは米国時間7月18日に,米国ケーブル大手のComcastがAT&T社傘下のAT&T Broadband買収を提案していた件に関して,同社役員会が満場一致でこの申し出を拒否する決定をくだしたことを明らかにした。

 Comcast社は米国3位のCATV企業。「買収が実現すれば,米AOL Time Warnerを大きく上回る米国最大のケーブルTV事業者になる」として,総額580億ドル規模での買収提案を行ったことを米国時間7月8日に明らかにしていた。一方AT&T社は同日,Comcast社と非公式に協議を行ったことは認めたが「Comcast社による提案も含め,現在のところ当社がBroadband部門を売却する計画は全くない」と売却の噂を否定する声明を発表している。

 今回の発表によれば,役員会は「注意深く検討し金融顧問の助言を受けた結果,Comcast社の提案がAT&T Broadband社の価値を反映していないと判断した。またComcast社の経営体制の問題についても懸念を感じた」(AT&T社)という。なお役員会は,Comcast社にこの決定を伝えるようAT&T社経営陣に指示済みである。

 AT&T社経営陣は役員会の意向のもと,すでに発表したリストラ策を含め,AT&T Broadband社に関する財務および戦略の新たな方針を検討している。

 なおニュース・リリースの末尾には,Comcast社会長のRalph Roberts氏および社長のBrian Roberts氏に宛てた手紙が掲載されている。

◎関連記事
米Comcastの米AT&T Broadband買収提案,米AT&Tが売却否定の声明
米Comcast,ブロードバンド事業での合併を米AT&T Broadband社に提案
米AT&T Broadbandがケーブル・システム売却を完了し,25億ドル以上の現金を獲得
米AT&T Broadbandが米Charter Communicationsと4州のケーブル・システム売却など総額20億ドル強のクロス取引
米AT&T Broadband,機器・資材購入の一時中止を納入業者に通告
AT&Tが分割を正式発表,法人向け,家庭向け,広帯域,無線の4社に

[発表資料へ]