調査会社の米In-Stat/MDRが米国時間7月18日に,「ノート・パソコン向けマイクロプロセサ市場では,米Advanced Micro Devices(AMD),米Transmeta,台湾VIA Technologiesなどが次々と米Intelに攻勢をかけているが,市場では今後も米Intelの支配体制が続く可能性が高い」とする分析を発表した。

 Intel社は5月にデスクトップ機向けのPentium 4とPentium IIIを最大51%値下げしており,さらに7月16日(米国時間)には900MHz版Celeronプロセサと900MHz版Mobile Pentium IIIの値下げを行った。Mobile Pentium IIIの平均価格(ASP:Average Selling Prices)は2001年いっぱい徐々に下がり,2002年後半には大幅に下落するとIn-Stat/MDR社は予測している。

 In-Stat/MDR社のIntel Microprocessors Service部門担当シニア・アナリストのKevin Krewell氏は,Intel社のモバイル向けプロセサの価格が,2001年第4四半期から2002年第4四半期にかけて20%程度下がると予測している。Krewell氏はこの要因として,ライバル企業との競争が激化していることや,技術面では今後も引き続き「P6マイクロアーキテクチャ」が用いられることなどを挙げられる。

 「景気減速が続く市場環境ではあるが,2001年第4四半期には回復サイクル入りが期待できる。Intel社のノート・パソコン向けプロセサの出荷個数は2001年通年で5%増とプラス成長を達成できる見通し」(Krewell氏)。

 2002年には需要が拡大し,Windows XPの導入などもあいまって市場を押し上げるという。Intel社のノート・パソコン向けプロセサの出荷個数は通年で26%増と回復するとKrewell氏は予測している。

 一方で,AMD社やTransmeta社,VIA社も,性能や価格の面でIntel社との差異化を図り,引き続きIntel社に攻勢をかける。

 「ちなみに,Intel社のノート・パソコン向けプロセサの出荷個数とAMD社のデスクトップ機向けを含めたマイクロプロセサ全製品の出荷個数がほぼ同じ規模である。Transmeta社やVIA社などがIntel社のシェアや製造能力に対抗するには,長い道のりが待っている」(Krewell氏)。

 その他の調査結果は以下の通り。

・AMD社は2000年前半に「K6-2+」で急速にシェアを拡大し,Intel社の「競合」としての地位を得た。後継のMobile Athlon 4やMobile Duronの性能も高い。しかし今後,Intel社がノート・パソコン向け新マイクロプロセサ「Banias」を2002年に投入する予定で,AMD社はこれによりシェアを低下させる可能性が高い。

・Intel社が2002年に投入予定の845チップセット(開発コード名「Brookdake」)は,RDRAMより安価なDDR SDRAMに対応する。また,2002年後半に投入予定のMobile Pentium 4のチップセットにはグラフィックス機能が組み込まれる。

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