現在米国議会で審議中のTauzin-Dingell法案は,地域電話事業者間の公平な競争的市場にとってマイナスの効果があり,もしこの法案が通れば,2006年までに米国経済全体で570億ドルから880億ドルもの損失を生ずることになるだろう---。

 これはオンライン・シンクタンクであるTechCentralStation.comの主宰者J. K. Glassman氏とマサチューセッツ工科大学(MIT)のInternet Telecoms Convergence ConsortiumのW.H. Lehr氏が共同で調査・分析した結果である。

 この法案は,旧ベル系の地域電話事業者に長距離データ通信事業への参入を認めようという内容である。旧AT&Tの独占的体質を排除する1996年のTelecom Actの規制を緩和するもので,法案審議の大詰めを迎えて業界の関心を集めている。

 レポートではさらに,「この法案は,現時点ではCLEC(競争的地域電話事業者)市場に与える影響はさほど大きくないように見えるかも知れないが,GDPを評価尺度として長期的視野から見るならば,相乗効果により今後5年間で1080億ドルに及ぶGDPの損失が生ずる可能性がある。もっと警戒すべき法案なのである。この法案が通れば,1996 Telecom Actによって分割を余儀なくされた旧Bell系通信事業者(BOC: Bell Operating Company)の勢力を再度復活させ,中小規模のCLECの事業は大きな圧迫を受けるだろう。この法案は,規制緩和により消費者の利益を守るという大義名分の下で,1996 Telecom Actを骨抜きにして独占的体質を再度強化するものである。最終的には地域電話事業者間の自由競争市場を破壊し,1984年以前の独占状態,つまり高料金,低品質,通信事業者の選択の余地がない,といったひどい状況を復活させるものである」と述べている。

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