米Gartnerが,「多くの企業がIT予算の増額を検討している」などとする調査結果を米国時間7月17日に発表した。増額を予定するという回答が56%と過半数を占めた。

 この調査は,2001年3月から6月にかけて全世界の589の企業・団体を対象に行われた。回答企業の売上高は平均23億ドル,従業員数は平均8100人,うち平均のIT人員数は286人である。

 「企業はハードウエア製品の購入を控えているが,サービスや人員には継続して支出している」(Gartner社のリサーチ・ディレクタのBarbara Gomolski氏)。

 同社は業界別にIT予算を調査した。その結果,「タイプA」と呼ぶ最先端の技術を採用する企業・団体では,売上高に占めるIT予算の割合を削っていないことがわかったという。「タイプA」に属す米国政府も,2000年から2002年の期間にIT予算を18%増額する予定である。次いで割合が高いのが通信サービス業界。通信サービスの企業では,IS(情報システム)予算の売上高に占める割合を13.9%にまで増やす見込みである。

 ただし,すべての業界がIT予算の増額を予定しているわけではない。例えば公益事業や建設業界は減額する見込みである。

 ハードウエアなどのIT設備投資に関する予算に関しては,営業予算よりも景気悪化の影響を受けている。公益事業は,2000年から2002年にIT設備投資費用を27.5%縮小する。また石油業界は25.8%縮小する意向だ。一方医療サービス業界では,IT投資予算を27.6%増額すると答えている。銀行業界も10.8%の増額を見込んでいる。

 今回の調査では,このほか以下のことがわかったという。

・内部スタッフに対する支出はIS予算全体の32.6%であり,IS予算で最大。
・ITスタッフのうち81%は内部スタッフ(正社員),19%が外部スタッフ(契約社員,コンサルタント,アウトソーシングなど)である。
・企業・団体の職員のうちIT専門職の占める平均割合は5.5%である。
・人事への支出に次いで多いのはハードウエア(20.4%)で,ソフトウエア(17%),外部サービス・プロバイダー(14%),データ/音声通信(12.8%),施設などその他の支出(3.1%)と続く。

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