米国電気電子技術者協会(IEEE:Institute of Electrical and Electronics Engineers)が米国時間7月17日に,「Ethernet in the First Mile(EFM)」プロジェクトの検討委員会が提出していた承認要請「Project Authorization Request(PAR)」を受諾したことを明らかにした。

 802 LAN/MAN(Metropolitan Area Network) Standards Committee(LMSC)が承認したもの。これに伴いIEEE 802.3作業部会は,作業チーム802.3ah EFM Task Forceに対し,仕様の草案作成に着手することを認めた。「Ethernetは他のFirst Mileのソリューションに比べ,コストやネットワークのシンプルさ,拡張性の面で優れる」(IEEE)。

 EFM Study Groupはこれまでに三つのトポロジや物理層を定義している。すなわち,(1)既存の銅線を介して10Mビット/秒以上のデータ転送速度で750mの距離を結ぶP-P(ポイント・ツー・ポイント)方式の銅線接続,(2)1本の光ファイバにつき1Gビット/秒以上のデータ転送速度で10kmの距離を結ぶP-P方式の光ファイバ接続,(3)1本の光ファイバにつき1Gビット/秒のデータ転送速度で10kmの距離を結ぶP-MP(ポイント・ツー・マルチポイント)方式の光ファイバ接続である。

 EFM Study Groupは,EFMの運用,管理,保守(Operation,Administration,Maintenance:OAM)に向けた技術の定義も順次進めて行く予定である。これには遠隔操作によるエラー検出やループバック,リンク管理などといった技術が含まれる。

 IEEE 802 LMSCは7月9日から13日にかけて総会(Plenary Meeting)を開催しており,EFM Study Groupのメンバー企業の代表がプレゼンテーションを行った。プレゼンテーションを行ったのは,米Cisco System,米Corning,独Infineon Technologies,三菱電機,米Broadcomなど。EFM Study GroupはWWWサイトで各社が発表したプレゼンテーション資料を公開している。

 なおEFM Study Groupの会長Howard Frazier氏によれば,今回LMSCより承認されたPARは,9月11日から13日に開催される会議でIEEE-Standards Association Standards Boardから正式に承認を受ける予定であるという。その翌週にデンマークのコペンハーゲンで802.3ah EFM Task Forceの第1回会議を開催する予定である。

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