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【TechWeb特約】倒産したオンライン食品雑貨販売の米Webvanが残してくれた“教訓”

横田英史 2001/07/18 ITpro

(2001.7.16,Tim Wilson=InternetWeek

 オンライン食品雑貨販売の米Webvan Groupが米国時間7月9日に事業を停止した。巨費を投じたIT/配信インフラの運用も止まった。これらはまもなくバラバラに解体され,個別に競売にかけられることになる。

 インターネット最大の食品雑貨販売店だったWebvan社は12億ドルの負債を抱え事業を閉鎖した。これは米eToysの5億ドルという負債額を大きく上回る。ドットコム業界で過去最大の“災難”となった。

 Webvan社CEOのRobert Swan氏は,「異なる環境下であったならば,我々のビジネス・モデルは成功したと思う。しかし時間切れを迎えてしまった」などと説明していた。

 「Webvan社の倒産によって,ドットコム企業による過去最大級のITインフラ投資も終わった。Webvan社は過去わずか3年間で3~4億ドルを投じ,WWWインフラや配送センターなどを構築していた」(業界関係者)という。

 これらインフラには,オンライン受注,倉庫,ロジスティックスなどに向けた4300万ドルのUNIXソフトウエアが含まれている。負債返済のためこれら資産は売却する必要があるが,すべてを一括して購入するという買い手が現れない場合,これらソフトウエアや機器,配送システムなどは個別に競売にかけられることになる。

 「もし一括購入者がいるのなら,Webvan社はとっくに売却していただろう。買い手は,しばらく待てば希望の“部品”だけを安く買えることを知っている」と指摘するのはGordon Brothers Group社マネージング・ディレクターのGage Andrews氏だ。

 なおWebvan社の報道担当者は,すべての資産を売却すると発表しているが,それらを「どのように売却するかについてはわからない」と答えている。

Webvan社の資産は大きすぎて売れない

 Webvan社のハードウエアや機器は現在,米AboveNet Communicationsのホスティング施設や七つあるWebvan社の配送センターに設置されている。これらの売却は困難と考えれられている。ドットコム企業倒産による資産の放出によって,ITのアフター・マーケットが飽和気味だからだ。

 「Webvan社のソフトウエアについては,食品雑貨販売業者や宅配サービスを考えている他業種の企業が検討するかもしれない」と米Gordon Brothers GroupのGage Andrews氏は語る。「ドキュメントがしっかりしていて,開発者へのアクセスをWebvan社が提供するのであれば,多くの買い手が出てくるはず」(同氏)という。

 一方で異なる見方もある。オンライン食品雑貨販売業界のアナリストによれば,Webvan社と競合していた企業はWebvan社の技術に興味を示さないという。米DatamonitorのアナリストErlina Hendarwan氏は,「Webvan社の技術は,自動受注と非常に複雑な配送センターに大きく依存してる」(同氏)ことを理由に挙げる。

 またWebvan社のシステムは規模が大きすぎるという。「Webvan社がOaklandの配送センターに投じた金額は2500万ドルと巨額。競合者であるPeapod社は個々の配送センターに200万ドルしかかけていない」(同氏)。

 また実店舗で食品雑貨を販売している英Tesco PLCや米Safewayなどは,倉庫/配送センターではなく地域店舗を介した宅配サービスに注力している。「Webvan社のITモデルはおそらく実店舗の業者の求めるものではないだろう」(AMR Research社アナリストのRandy Covill氏)。

 Webvan社が3年前にシステムを立ち上げた頃とは状況が違って,今ではオンライン食品雑貨販売店用の倉庫/ロジスティックス向けの既製ソフトウエアの数も増えている。「独自ソフトを開発することは得策ではない,ということをWebvan社は教えてくれた。彼らはソフト開発に巨額の費用を投じた。ソフト・ベンダーであればより良く,安価で,管理も容易なものを作れたかもしれない」(AMR社のRandy Covill氏)。

顧客対応のまずさが破綻の引き金に

 Webvan社はリピート客の獲得に苦戦していたようだ。サンフランシスコで同社のサービスを初めて利用した人の数は全体の7%。しかし2回以上利用した人は,ほんのわずかに過ぎなかったという。

 「Webvan社は顧客が求めているものを提供しなかった」(Datamonitor社のErlina Hendarwan氏)。「注文手続きに苦戦している人もいれば,家庭からのインターネット接続で,速度の遅さに不満を抱いていた人もいた。またWebvan社は,留守の顧客に商品を届けるための手法を開発するのも遅かった」(同氏)。

 Webvan社はIT技術の利用で苦戦していたが,今後のe-business企業はこの失敗から多くを学ぶことができるとアナリストらは分析する。

 「我々は,一つの販路では不十分だということを学んだ。いかなるITインフラも複数の販路に対応する必要がある。もう一つの教訓は“ゆっくりやる”ということ。実店舗を持つ業者は,市場で2番手でいることが有利であることを学んでいる」(AMR社のRandy Covill氏)。

 Webvan社の倒産により,オンライン専門の食品雑貨販売市場の規模が縮小した。この市場には現在苦戦している米Netgrocer.comや米Peapodもあり,いずれもWebvan社ほどの技術投資を行っていないもののWebvan社と同じ倉庫/配送センター型の事業モデルである。

 またWebvan社は,オンライン食品雑貨市場で優位に立とうと米HomeGrocer.comの買収に踏み切り,1億4000万ドル以上を費やした。しかし,これが同社のIT体制にとって致命的な問題となってしまった。HomeGrocer社のシステムを自社のビジネス・モデルに統合すべく,Webvan社はシステムの再構築を強いられたからだ。

 しかし,アナリストはオンライン食品雑貨販売の市場に大きな期待を寄せている。米Datamonitor社の調査によれば,オンライン食品雑貨販売の市場規模は2000年の15億ドルから2005年までには270億ドルにまで拡大する。「実店舗の業者が市場を先導する。オンライン・プレゼンスを利用して注文を取り,地域店舗がそれを配達するといったスタイルだ」(Datamonitor社のHendarwan氏)。

 またWebvan社の失敗は,オンライン小売り店への教訓にもなったという。AMR社のRandy Covill氏は「すべての力をインターネットに注ぐのではなく,多様な販路を持つことの重要性を教えている」(同氏)と説明する。

 「複数の店や複数の販路を通して商品を購入する消費者は,そうでない人に比べて一般的に3~5倍支出するという調査結果がある。カギは消費者を一つの販路に導くことではない。彼らに購入方法の選択肢をより多く与えることなのだ」(AMR社Randy Covill氏)。

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