ブルッキング研究所のエコノミストRobert W.Cradall氏とエンジニアリング・コンサルタントのCharles L.Jackson氏が米国時間7月16日に,広帯域インターネット接続の経済効果に関する調査結果を発表した。それによると,広帯域利用の普及が米国消費者と企業にもたらす経済効果は5000億ドル規模に達するという。
「広帯域利用の普及により米国消費者は,やがて1年あたり3000億ドル以上の恩恵を受ける。さらに企業は1年あたり1000億ドルの収入増が見込める。これは広帯域接続が,現在の一般電話サービスと同様に普及した場合の予測である」(Crandall氏)。
調査では,広帯域の普及率が低い場合を50%,高い場合を94%(米国家庭の電話普及率)と仮定し,いくつかの異なる側面から消費者と企業にあたえる広帯域利用の経済効果を評価した。
現在のところ,広帯域サービスを利用している家庭は8%にも満たない。そのため,有用なアプリケーションの開発が遅れている。消費者の役に立つ広帯域活用としては次の5分野が考えられる。すなわち,1)家庭でのオンライン・ショッピング,2)通勤時間と費用の削減,3)エンターテインメント・サービス,4)通常の電話サービス,5)遠隔医療である。
■広帯域普及が消費者にもたらす1年あたりの経済効果(単位:10億ドル)
普及率50%の場合 | 普及率94%の場合 | |
直接的要素 | ||
広帯域接続サービス利用料 | 230 | 345 |
家庭用コンピュータおよび | 19 | 44 |
ネットワーク装置 | ||
合計 | 249 | 389 |
その他の要素 | ||
ショッピング | 74 | 257 |
エンターテインメント | 77 | 142 |
通勤時間と費用の削減 | 30 | 30 |
電話サービス | 51 | 51 |
遠隔医療 | 40 | 40 |
合計 | 272 | 520 |
出典:Criterion社
◎関連記事
■旺盛な広帯域とインタラクティブ・サービスへの需要がCATV業界を牽引
■米国でブロードバンド・インターネット普及の足を引っ張る“規制"
■「米国ネット・ユーザーの31%が広帯域接続を利用,過半数は職場ユーザー」,米企業の調査
■「広帯域接続でネット消費が爆発,2005年には20倍以上に」,米Gartner調査
■「広帯域ユーザーは広帯域接続向けメディア・アプリケーションを大いに利用」と米Excite@Home
■「住宅向けブロードバンドが今後の通信市場を牽引」,IGIの調査
[発表資料へ]