米Microsoftが米国時間7月11日に,パソコン・メーカーなどOEMに対する「Windows」のライセンシングを変更することを明らかにした。パソコン・メーカーがWindowsに手を加えられる範囲を拡大する。WindowsのデスクトップからMicrosoft社の製品を削除することも可能になった。米連邦高裁の判決結果を考慮した措置である。
Microsoft社の米独占禁止法違反訴訟の控訴審で,米連邦高裁は6月28日に2分割を命じた連邦地裁の判決を覆し,再審理を求める判決を下した。このなかで,「Microsoft社はWindowsのライセンシングに際してサード・パーティによるWWWブラウザの提供を妨害している」との判断を示した。
「既存のWindowsライセンシングでは,裁判所から不適切とみなされる点があったことを認める。ライセンシング内容を直ちに変更する。今回の措置は,司法省との交渉とは無関係である」(Microsoft社CEOのSteve Ballmer氏)。
Windowsライセンシングの主な変更点は以下の通り。
・パソコン・メーカーは「Windows XP」の「スタート」メニューから,「Internet Explorer」にアクセスするためのエントリとアイコンを取り除くことができる。また,Microsoft社はInternet Explorerを,Windows XPのプログラム追加/削除機能「Add-Remove Programs」の対象にする。
・パソコン・メーカーは「Windows 98」「Windows 2000」「Windows Me」といった従来版Windowsの「スタート」メニューから,Internet Explorerにアクセスするためのエントリとアイコンを取り除くことができる。
・パソコン・メーカーはWindows XPのデスクトップにアイコンを配置することができる。ユーザー調査からMicrosoft社は,Windows XPのデスクトップをクリーンな状態で出荷する予定だったが,パソコン・メーカーの変更を認める。
・消費者はWindows XPのAdd-Remove Programsを使って,OSに含まれたInternet Explorerコンポーネントへのアクセスを解除することができる。
なおライセンシングの変更によりWindows XPに関する開発やテスト作業が必要となるが,発売予定日(10月25日)に影響はないとしている。
Windows XPは,強化版のWindows 2000エンジンをベースに,新たなユーザー・インターフェースを備えたOS。Windows 95以来の大きな変更である。パソコンとデバイス,サービスを統合することでパーソナル・コンピューティングの「エクスペリエンス(体験)」を拡張する,という。
Windows XPのハードウエア条件は以下の通り。
・動作周波数300MHz以上のプロセサ(最低で233MHz)。米Intel製「Pentium」「Celeron」ファミリ製品,米AMDの「K6」「Athlon」「Duron」ファミリ製品,または互換プロセサなど。
・128Mバイト以上の主記憶(64Mバイトでも可能だが,性能や機能が制限される場合がある)。
・1.5Gバイトのハード・ディスク容量。
・Super VGA(800x600)以上の解像度に対応したビデオ・アダプタ・カードおよびモニタ。
・CD-ROMまたはDVDドライブを装備。
・キーボードと「Microsoft Mouse」または互換マウス。
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