(2001.7.6,Mitch Wagner=InternetWeek

 Linuxベンダー数社が「Microsoft.NET」の「オープン・ソース版」開発プロジェクト「Mono」を立ち上げた。「Mono」はスペイン語で,「サル(monkey)」を意味する。

 プロジェクトを統括する米Ximian(http://www.ximian.com/)が米国時間7月9日に正式に発表を行う予定である。Ximian社はLinuxデスクトップ環境「Gnome」を開発するベンダー企業。Linux向けの.NETツールを2001年末までに開発する予定であるという。

 Ximian社は現在,Microsoft社が欧州電子計算機工業会(ECMA :European Computer Manufacturers' Association)に提出済みの.NETのインタフェースを使い,プログラム言語「C#」やランタイム・エンジン,クラス・ライブラリを開発している。ちなみにランタイム・エンジンは,C言語やC++,Cobol,Pascalといった言語で書かれたプログラムを走らせるためのものである。

 Ximian社Chief Technology OfficerのMiguel de Icaza氏は,「.NETに関しては,Microsoft社を評価したい。プラットフォームの出来がよく,標準化機関に仕様の提出も行っている。我々はこれを使い,機能の拡張を行う」と話す。

 「.NETツールは,プログラマーにとってまさに夢の実現そのもの。Windowsのベンダーなら,この素晴らしいプラットフォームをおおいに楽しめるのだろう。ともかく我々は,この優れたプラットフォームの一部をちょっと使いたいだけだ」(Icaza氏)。

 Monoで開発するコードはオープンソースとなるため,ソフトウエアの開発者はどのOSにでも移植できる。つまり,Microsoft社のライバルである米Sun MicrosystemsのSolarisや米Palm社のOSなどへの移植が可能となる。Windows向けのアプリケーションが,Linuxやその他のOSでも動かせる状況が生じる。Microsoft社にとって,これが大きな打撃となることは間違いない。

 Microsoft社が同プロジェクトに関し,どのように反応するのかについてはまだ明らかではない。Icaza氏はプロジェクトの正式発表を行う7月9日に,Microsoft社と話し合いを持つ予定であるという。

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