(2001.7.6,Larry Greenemeier=InformationWeek

 米Compaqは6月末にMIPSおよびAlphaプロセサを搭載したマシンの開発を打ち切り,すべての64ビット・サーバーをItaniumベースで統一するとの発表を行った。これに対する顧客の反応は様々だ。歓迎する向きもあれば,他社に乗り換える「離反」の動きも出ている。

 米Memorial Hermann Healthcare System(MHHS)のシステム開発部門長John Barr氏は,「これは始まりであって,終わりではない」と語る。「Compaq社がAlpha技術を完全になきものとするわけではない。Tru64 UNIXやOpen VMS,Himalaya向けNonStop Kernelは徐々に消えていくことになるだろう」と話す。同氏は,Compaq社が顧客からニース吸い上げる目的で設置している「Compaq Open VMS board」のメンバーでもある。

 「Intel社はItaniumシステムの普及拡大をねらい,Alpha技術の利用を望んでいる。一方のCompaq社は,Itaniumシステムの“標準”としてOSを売り込むことができる。そのうえ顧客には統合によるコストの低減というメリットを提供できる。非常にうまい,巧みなやり方だ」(Barr氏)。

 Barr氏によれば,「今後Alpha技術はItaniumシステムの基盤となるはず」という。

 「当然ながら,評判がよく,信頼性の高いシステムを利用したい。米Microsoftに全システムを託したいとは思わない。Windows NTだけが使えるというのではなく,Tru64やNonStop Himalaya,Open VMSも動かせるのが望ましい」(Barr氏)。ちなみにMHHSは,テキサス州南部の病院が集まった非営利団体である。

 MHHSがCompaq社の顧客になったのは5年前。現在Windows NT 4.0をベースとした280台のProliantサーバーとAlphaクラスタを導入し,ミッション・クリティカルなメディカル・システムを稼動させている。Windows NT 4.0は今後18カ月をかけて,Windows 2000に移行する予定だ。

 ちなみに,Compaq社のサービスによる収入は売上高全体の21%を占める。2000年の15%に比べ6ポイント増である。Global Services部門の従業員数も,世界全体で3万3000人から3万8000人規模へと増えている。

 Barr氏は,Compaq社のOSに向けたItaniumプロセサの投入について,「2002年の年末か2003年の初め」と予測する。価格については「わからない」と語った。

 英EBS Partnershipは,別の道を選ぶことになりそうだ。同社はCompaq社のサーバー(OSにVMSを使った1000台のVAXサーバー)を中核に据え,米Dell ComputerとCompaq社のデスクトップ・パソコンを組み合わせてシステムを構築している。

 同社は,VMSとAlpha技術をベースにした銀行勘定照合システム「FXNet」を提供している。システムの扱う金額は1日あたり800億ドルである。Global Operations統括責任者のMakhan Lalli氏は,「Itaniumは技術的になんの“保証”もなく,金融サービスにとってはリクスが大きい。当社がその実験台になるつもりはない。今後2年間で,システムを米Sun MicrosystemsのJavaベースのプラットフォームに移行することに決めた」と話す。

 また米DirecTVでは,「Alphaマシン打ち切りの発表よりも前に,他のプラットフォームへの移行計画を立て始めていたので当社にはほとんど影響がない」(Enterprise Stragegies and Atchitecture部門担当副社長のMark Schebert氏)と語る。DirecTV社はもともと,米Digital Equipmentと契約を結びAlphaサーバーやシステム・インテグレーション・サービスなどを導入していた。なお2003年までに,加入者向け課金管理をCompaq Global Services部門にアウトソーシングする予定である。

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